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1997年の消費増税時には、著しい駆け込み需要や反動減は見られなかった
この話が単なる仮説ではないことは、消費税が増税されたときの様子を見ればわかる。
2014年4月に消費税が5%から8%に増税されたが、この前後には、生活必需品を含む多数の商品において、駆け込み需要とみられる販売増と反動減が観察された。経済学的に考えると、増税を前に生活必需品を買いだめすることにはほとんど意味がない。生活必需品は一生買い続けるものなので、消費増税前に多少、買い込んだところで、そこから得られるコスト削減効果はほぼゼロとなってしまうからである。
諸外国でも増税を前にした生活必需品の買いだめという行為はあまり観察されておらず、日本でも1997年に行われた5%への消費増税の際には、こうした動きは見られなかった。今回の増税にあたって買いだめする人が殺到したということは、1円でも節約したい人が増えたことを物語っている。これは日本の家計が貧しくなっていることの裏返しといってよい。
企業のマーケティング担当者の間では、大規模なポイント付与で売上を拡大する手法はもはや日常茶飯事となっているが、こうした動きもかつてはあまり見られなかったものである。
このところ日本の景気が順調に拡大しているといわれる。だが、米国の好景気よって輸出産業の業績が伸びたことが最大の要因であり、日本経済が持続的な拡大モードに入ったわけではない。GDPの6割を占める個人消費はほとんど伸びておらず、消費の低迷は今後も継続する可能性が高い。
残念な話だが、今回、摘発されたゲームセンターのような事例は、今後もたびたび出てくるだろう。消費者にとっては注意が必要な時代である。
(文=加谷珪一/経済評論家)
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