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ゴーン氏がルノーの取締役として再任の了承をフランス政府から取り付けるには、3社連合のあり方を見直さなければならない。ただ、それでもゴーン氏が主導権を持つためには、日産の筆頭株主であるルノーのCEOにとどまるほうが得策と判断したと見られる。
強まる仏政府の関与
フランスでは企業経営者の高額報酬に対する批判が高まっており、16年に約700万ユーロ(約9億2500万円)だったゴーン氏の報酬をフランス政府は問題視している。ゴーン氏はルノー取締役の再任に当たって報酬の30%減額も受け入れた。さらに、ルノーの経営責任を明確化するため、チーフ・コンペティティブ・オフィサーのティエリー・ボロレ氏を、ルノーのナンバー2で現在は空席となっているCOO(最高執行責任者)に就任させることも決めた。
ルノー、日産、三菱自というグローバルな自動車メーカー3社のトップに君臨するという前例のない経営体制を続けてきたゴーン氏。仮にフランス政府の反対でゴーン氏がルノー取締役を退任することにでもなれば、3社グループの結束は瓦解する可能性がある。それだけは避けたいゴーン氏は、フランス政府の要請を全面的に受け入れるしかなかった。
マクロン大統領が求めるのはルノー、日産、三菱自の3社連合の経営統合で、ここにフランス政府が一定の影響力を保持することと見られる。ただ、フランスは失業率が10%近くと、他の先進国と比べて突出して高く、政府は経済対策に力を入れている。このため、3社の経営統合が実現すると、販売が好調な日産車や三菱車を、フランス国内で製造して雇用を創出することを求められる可能性もあり、3社連合の経営に政治の関与が強まるリスクもある。
ゴーン氏が現在のポストにとどまるために、事実上、政府の要望を受け入れざるを得ななくなる3社連合の進む先は、見通せない。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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