仮想通貨バブル、金融庁の責任は?
信用力を欠いたまま急騰を続けてきた仮想通貨バブルを、なぜ金融庁は放置したのだろうか。森信親長官は17年7月に3期目に入り、過去に4期務めた人がいないことから、今年7月には退任するとみられているが、晩節を汚した格好だ。「森長官が仮想通貨バブルを助長した」との批判もある。
仮想通貨を、規制するのではなく普及させることにカジを切った金融庁の、そもそもの判断が間違っていたのではないかとの声が上がっている。市場行政のプロたちは仮想通貨の普及に慎重だったが、森長官が押し切ったといわれている。仮想通貨バブル、その後のスキャンダルが森長官退任のダメ押しとなったとの見方もできる。
コインチェックは1月26日にNEM580億円相当を流出させ、その大半が失われた。NEMの保有者26万人に、コインチェックの自己資金から466億円を返金すると表明し、和田氏は4月6日の記者会見で「NEMの補償はすでに自己資金から賄い、終わっている」と説明した。
金融庁は3月8日、仮想通貨交換業者7社に一斉に行政処分を下した。ビットステーション、ビットエクスプレス、来夢の「みなし業者」3社は事業を断念し、廃業する。
4月6日、金融庁はさらに3社を行政処分すると発表した。2社に改正資金決済法に基づく業務停止命令、1社に業務改善命令を出した。処分されたのはいずれも、みなし業者。一斉処分は3月8日に続き2回目。すでに撤退を決めている上記3社に加えて、合計6社が6日までに仮想通貨交換業から撤退を決めたことも明らかにした。
今後も金融庁は、ずさんな管理で問題が発生した業者は市場から強制的に退出させる方針だ。金融庁が次に打つ手は再編だろう。ヤフーは子会社を通じて登録業者のビットアルゴ取引所東京への資本参加を検討している。大手主導で業界再編が進むことを金融庁は期待している。サイバーエージェント、LINEなど、新規参入を表明している上場企業も多い。金融庁によると「100社程度が新規参入の意向を示している」という。
仮想通貨は投機の対象だ。そもそも健全な市場などない、育てようがないのではないのか、といった極論まである。