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フェイスブック、「データ販売会社」という「本当のビジネスモデル」露呈

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 重要なことは、環境の変化を受けて、それぞれの企業が新しいサービスなどを生み出し、人々からの支持を獲得し続けていくことができるか否かだ。それができない場合、フェイスブックは社会からの支持を失い、収益性が悪化する恐れがある。その状況が続くと、企業は市場原理に従って淘汰されるだろう。今後、そうしたケースが増える可能性がある。

ハイテク業界は再編の時代へ

 
 大局的に考えると、当面のITハイテク企業の勢力は、アマゾンのように自社のプラットフォームに社会の一部を吸収する企業と、それ以外の企業に二分化する可能性がある。端的にいえば、ハイテク業界は再編の時代を迎えるということだ。

 それは、グーグル対ヤフーの競争に次ぐ、大きな変化といえる。グーグルは、ヤフーよりも機能が優れ、使いやすい検索サイトを生み出した。その後、SNSが登場し、デジタル・マーケティングの空間は一般のサイトからSNSなどへ移行した。事業環境の変化に対応するために、グーグルはアルファベット(持ち株会社)の傘下に検索、AI(人工知能)などの事業を集約した。つまり、事業ポートフォリオの分散で変化に対応しようとした。ただ、自動運転技術への不安など、アルファベットが今後の変化に対応できるかは見通しづらい。規制強化やユーザー(社会)の離反から、競争力が低下するリスクもある。

 いい換えれば、自社でSNS、検索、AI関連などのテクノロジーを開発し成長を目指す発想では、環境の変化に対応するのは容易ではないということだろう。IT先端技術が生み出すテクノロジーは、未知のものが多い。その分、人気を獲得できれば、急成長は可能だ。社会がそれに習熟せず、どのような規制やルールが必要かわからなかったために、フェイスブックは成長を遂げることができたともいえる。リスクが顕在化し、あるべき規制が施行され従来の発想が通用しなくなると、ビジネスモデルの持続性は失われるだろう。

 その状況に自力で対応するのは難しい。現時点でこの問題に対応する発想を持っているのはアマゾンだろう。同社は、買収のみならず、提携などのアライアンスを通して自社の事業領域を広げてきた。フェイスブックの問題発覚は、ITハイテク企業を中心にライバルや異業種の企業と連携し、従来以上にオープンなかたちでのイノベーションの発揮、および、ビジネスモデル構築が重視される転換点となる可能性がある。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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