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進まないリストラ
18年3月期決算は、構造改革の遅れが鮮明だったといえる。その筆頭は人員のリストラの遅れだ。
三越伊勢丹HDには「ネクストキャリア制度」と呼ばれる早期退職制度があるが、早期退職を促すため、中核事業会社の三越伊勢丹では退職金を最大で5000万円積み増し、部長級の希望退職者の対象年齢を50歳から48歳に引き下げるという大胆な制度推進策の実行に踏み切った。これによりかなりの費用が生じることになるが、それでも人員削減を進めたい考えだった。
しかし、この人員削減が思うように進んでいない。800〜1200人の応募者を見込んでいたが、18年3月期は180人弱にとどまったという。19年3月期も応募者を募る計画だが、現状の条件のままでは計画通りに応募者が集まるかは微妙なところだろう。退職金のさらなる積み増しで応募者を増やすことが考えられるが、これは財務内容のさらなる悪化につながるため、そう簡単にできることではない。
また、新規採用を抑制しての人員調整が考えられるが、同社はバブル期に総合職の人材を通常の3〜4倍採用したこともあり、世代間の人員構成がいびつになっているという問題を抱えているため、新規採用を抑制しての人員調整は、人員構成のいびつさに拍車をかけることになってしまうという問題がある。
従業員の士気低下や反発を恐れて強く踏み込めないという事情もあるだろう。昨年3月に大西洋前社長が退任したが、同氏の改革に反発した社員が現社長の杉江俊彦氏を担ぐかたちでクーデターを起こして大西氏を退任に追い込んだともいわれているが、それが事実であれば、杉江社長は自身が二の舞になることを恐れて、社員に退職を強く迫ることはできないだろう。いずれにしても、人員のリストラが進んでいないのが現状だ。
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