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そのため、楽天は今までとは違うかたちの戦略として、その業界内でナンバーワンクラスの会社と組んでいくことで、そのブランド力を楽天の経済圏のなかに取り入れていくスタイルを取っているのです。ビックカメラのほかにもウォルマートや西友、伊藤忠などとも提携を行っていますし、おそらく今後も提携企業は増えていくでしょう。ひとりの顧客がどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す“ライフタイムバリュー”というマーケティング用語がありますが、楽天の狙いとしては、このライフタイムバリューを大きくしていきたい、ひとりの顧客が消費するお金のうちの大きな割合を楽天が占めるかたちに持っていきたい、と考えているわけです」(角井氏)
では、楽天ビックという業態は、打倒アマゾンにおける布石となり得るのだろうか。
「ビックカメラのブランド力があるので楽天ビックで買い物をする人もいるでしょうし、それで楽天ポイントが発生すれば、楽天経済圏はその分、大きくなります。さらにいうならば、買い物の際に楽天銀行や楽天カードといった金融サービスを使用する選択肢もありますし、それが使用されれば商品に紐づいた顧客データや見込み客データも手に入ります。ですから、楽天ビックという業態のみによって打倒アマゾンとなるわけではありませんが、楽天の戦略を実現するひとつのサービスとしては非常に有効な存在なのではないでしょうか」(同)
ECとリアル店舗の融合が進み、リアル店舗にはショールームの役割も
自宅に居ながら買い物ができてしまうECの拡大の裏には、衰退していくリアル店舗の存在があるが、これからの家電EC、そして家電量販店のあり方はどう変化していくのだろうか。
「ECサイトとリアル店舗は一見まったく相いれない存在のようにも思えますが、実のところ切り離せるものではなく、むしろ融合されてきているといえます。たとえば家電には型番があるので、それさえわかればECでも問題なく買うことができるでしょう。すると店頭で実物を見て、いいなと思ったらその場でECサイトを開いて買うという買い物の仕方ができるわけです。インテリア小売のニトリなどは、店頭で欲しい商品のバーコードを読み取らせると、そのままニトリのEC上で決済が行える『手ぶらdeショッピング』というアプリをリリースしているという例もありますからね。つまり、店舗にはECのショールームという使い方が生まれてきているのです。
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