13年2月、メルカリを資本金2000万円で設立。13年8月、ベンチャー投資などを手掛けるユナイテッドから3億円の出資を受けた。スマホを使ったフリマ市場の拡大が期待できると判断してユナイテッドは投資した。
ユナイテッドはメルカリの東証マザーズの上場に伴い、保有していたメルカリ株450万株を売却。売却額は128億円。126億円の営業利益が発生、2019年3月期決算で利益を計上する。
ユナイテッドはメルカリ株式を1500万株(発行済株式の12.8%)保有していたが、売却後は1050万株(7.7%)。依然として第2位の株主である。ユナイテッドはエンジェル投資家として巨額のリターンを得た。
米国市場へ挑戦
山田氏は、「野茂英雄さんの大ファンです。野茂さんのメジャー挑戦が発表された時、日本中でバッシングが巻き起こったことをよく覚えています」と書き出す手紙を、上場当日の記者会見で配ったプレスキットに挟み込んだ。上場を記念する会見は、東証で行われるのが一般的だが、メルカリは東京・丸の内の東京ステーションホテル「鳳凰の間」で開いた。それだけ上場に力を入れていたのだ。周囲の反対を押し切って米リーグに挑戦した野茂英雄氏と、これから本格的に米国市場へ挑む自分の姿を重ね合せているとみられる。
メルカリは洋服や雑貨などさまざまな品物を、スマホを使って個人同士で売買できるアプリを提供している。利用者による年間売買総額が3000億円を超える水準に急成長した。売り上げの大半は販売手数料収入。ユーザーの半数以上が20~30代の女性たちだ。
17年6月期の連結売上高は前期比1.8倍の220億円、純損益は42億円の赤字。米国事業への投資がかさんでいるためだ。18年6月期の売上高は前期比1.6倍の358億円と伸びるが、純損益は引き続き赤字の見込み。海外事業の赤字が続く。19年同期の売上高は同1.7倍の600億円、最終利益段階で5億円に黒字に転換するとしている。
メルカリが目指すのは米国市場だ。だが、そこには強敵が待ち受けている。売上高が1兆円に達するオークションサイトのイーベイを筆頭に、新興のボッシュマークなどのライバルがひしめく。
メルカリは国内では知名度が高いが、米国では無名だ。上場で得た630億円を広告宣伝などに投入し、認知度を高める作戦に出る。