2004年のプロ野球再編騒動でソフトバンクと楽天が参入
前澤氏のプロ野球参入計画は、孫氏の猿真似という声がある。ソフトバンクはダイエーの経営危機に乗じ、プロ野球球団の福岡ダイエーホークスを買収した。
経営が悪化したダイエーは、福岡事業のドームやホテルを外資系ファンドに売却。並行してホークスの身売りを決断した。
「ハゲタカ(外資)による球団支配は断じて許さない」
“プロ野球界の盟主”を自任する読売ジャイアンツの渡邉恒雄オーナー(当時)は、このように怒りを爆発させた。ホークスが外資系に乗っ取られるとの危機感が発端となり、プロ野球界の再編へと発展する。
大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併を契機に、「1リーグ10チーム」構想まで飛びだした。それは千葉ロッテマリーンズと福岡ダイエーホークスが一緒になり、10チームにするというシナリオだった。
日本プロ野球選手会は、球団が減ることに猛反対した。選手会は初のストライキを敢行。団体交渉で「2005年はセ・パ12球団で行う」という答えで決着をみた。
この時、孫氏が“救世主”として登場した。04年11月、ダイエーはホークス株式の98%をソフトバンクに50億円で譲渡。孫氏は創業の地・福岡で、プロ野球団のオーナーに就任した。
新規参入の意向をライブドアと楽天が表明したが、11月のオーナー会議で楽天の新規参入が認められた。
ホリエモンことライブドア社長の堀江貴文氏は、神経を逆なでする言動でオーナーたちを怒らせた。オーナー陣を敵に回したことから、“後出しジャンケン”のかたちで名乗りを上げた楽天の三木谷浩史氏に敗れた。
再編の火種はロッテ球団にあり
スタートトゥデイは16年のシーズンオフに10年間、総額31億円でマリーンズの本拠地、千葉マリンスタジアムの命名権を取得し、「ZOZOマリンスタジアム」に変更した。前澤氏は球場の修繕費として私財から1億円を寄付した。同氏は千葉・鎌ケ谷市の出身で、本社や物流拠点も千葉県内にある。
マリーンズのホーム・グランドの命名権を獲得したことから、すでに球界とのかかわりもできている。そのため、「マリーンズの買収に動く」のではないかという予想が広がっている。ただ、マリーンズの山室晋也球団社長は「ロッテグループの総意として、球団を手放すことはあり得ない」と強く否定した。
その他11球団の保有企業についても、「球団売却を検討しなければならないほど本業が厳しい企業はない」(プロ野球関係者)といい、現時点でスタートトゥデイが買収するのは容易ではない。