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某大手車買取業者、客の不安煽り&追い込み営業の実態…「今決めてもらえれば1万円」

文=関村泰久/ジャーナリスト
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(3)山田さんの良かった点

・契約書を読み直した。
・遅きに失した感はあるが、違和感を覚えて、すぐにネットで情報を集めた。
・多少勉強したということを伝え、かつ訴訟も辞さない旨を伝え、強気でキャンセルを伝えた。

 それにしても、上場会社であるX社の社員教育はどうなっているのであろうか。あっさり自分の非を認めたということは、「ついつい言っちゃった」ではなく、相手が無知そうなことに乗じて故意にやったという可能性もあるのではないか。もしかすると、こういう営業が常態化しているのではないかとさえ考えてしまう。

X社の見解

 今回のケースについて、弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は次のように解説する。

「今回の山田さんのケースにおいて、X社が詐欺罪などの刑法犯として処罰される可能性は低いと考えられます。詐欺罪においては、『欺罔(だます)』と、それによる『錯誤(だまされる)』と、その後の『処分行為(お金などを払ってしまう)』が必要となります。今回の場合は、『山田さんが、契約をするにあたり、必要なこと(通常、この取引において山田さんが知りたいと思うようなこと)を、あえて隠した、教えなかった』というものであり『欺罔』には足りず、「買取価格1万780円」という金額も、当事者間において合致していることから『錯誤』もありません。

 もっとも、山田さんのケースのように、あたかも自社の買取りサービスが他社より優れているかのようなセールストークや、あたかも山田さんが有利な取引であるかのように誤解するようなセールストークを行った場合、景品表示法という法律が禁止する『有利誤認表示の禁止』に該当する場合があります。この場合、消費者庁はX社に対し、業務の改善などを命じる『措置命令』を発令するなどして、是正を図ることになりますし、業者名が公表されることによって消費者に注意を促すことにもなります」

 そこでX社に見解を聞いたところ、以下の回答が寄せられた。

「本件は『有利誤認表示の禁止』には該当いたしません。景品表示法は、自己の供給する商品や役務について行う広告その他表示(口頭による説明も含まれる)が対象となるため、今回の『買取』に関しては対象外になります。

 東証一部上場企業の営業活動方法として、今回の件は一部誇張表現を会話の中で使用したことでお客様の不安を煽り、本来お客様の不安や不明点を解決するための適切な対応ができておらず、結果不快な思いをさせてしまった点について問題視しています。本件に関して、オンラインストアの人員拡大に伴い社員教育の徹底が行き届いていなかったことが要因として挙げられ、この件に関してはオンライン事業部だけではなく、会社全体の課題として捉えています。5月にカスタマーサクセスチームを設立し、従来のお客様相談室に問い合わせいただいた声だけに対応するのでなく、SNS等でも声を拾い、お客様の声に真摯に向き合い改善を現在行っています。

 今後このようなご迷惑をおかけすることのないよう社員教育を徹底すると共に、お客様からの信頼によりお応えできるよう一層努力をしてまいります」

 商品やサービスを購入する際には、事前の情報収集とともに、判断を焦らないことが重要といえよう。
(文=関村泰久/ジャーナリスト)

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