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ドンキホーテとバブル崩壊後の日本経済30年史…約30年連続増収増益の秘密と意味

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

 また、ドンキホーテは小売りの現場で吸い上げられた消費者の欲求を、“情熱価格”の商標で展開されているプライベートブランド製品に反映させてきた。“ありそうでなかったモノ”を同社は各企業と協力して開発し、お買い得感とともに消費者に提供してきたといえる。

 一例が、菓子メーカー湖池屋と共同開発した「ONE HAND POTECHI(ワンハンドポテチ)」だ。今日、スマートフォンで動画を見ながらお菓子を食べたいと思う人は多い。問題は、お菓子を食べながら操作すると、スマホ画面が汚れてしまう。手を汚さずにお菓子を食べながらスマホを操作できれば快適だ。そのニーズにこたえて、ドンキホーテは手を汚さずに食べるお菓子のアイディアを実現した。

小売業界に新風を吹き込んだドンキホーテ

 
 ドンキホーテは、国内外で同業他社を買収するなどし、業績を拡大させてきた。それができたのは、同社が“接客”や“陳列”など、国内小売業界の常識にとらわれず、徹底して低価格路線を実現することにこだわったからだろう。

 2007年、同社は総合スーパーの長崎屋を買収した。長崎屋はドンキホーテの店舗よりも売り場面積が広かった。それは、圧迫陳列などの独自手法が取り入れづらい店舗形態であることを意味する。

 売り場面積の広さを活かして同社は長崎屋を「MEGAドン・キホーテ」のブランドに組み替え、食料品などを中心に大型ディスカウントストアとして運営した。丁寧な商品の陳列を重視するよりも、台車に積まれたままの品物を店頭に出すなど、コストカットを徹底した。それまでは付加価値と思われていた業務を削減して顧客に還元することで、低価格路線を強化したのである。この結果、MEGAドン・キホーテの売上高増加率は、業界平均(日本チェーンストア協会の発表するチェーンストア販売統計)を上回って推移している。

 2017年、ドンキホーテはユニー・ファミリーマートホールディングスと資本・業務提携を締結した。提携契約の締結前後を比較すると、ドンキホーテと共同運営されている店舗の客数は増加し、利益率も改善している。
 ドンキホーテによる事業再生のケースを踏まえると、総合スーパーが重要と考えてきた取り組みは、消費者の満足度の向上につながっていなかった可能性がある。

 また、ドンキホーテは各店舗を画一的に管理してはいない。ドンキホーテは、店舗ごとの自主性を重視している。そのため、立地が違えば品ぞろえも価格帯も違う。それが、低価格、各地域の消費者に受け入れられやすい品ぞろえを実現し、リピーターを確保することにつながった。大手総合スーパーなどの逆を行く発想が、ドンキホーテの成長につながったといえる。

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