「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングスが苦しんでいる。8月9日に発表された2018年第1四半期(4〜6月)連結決算を見ると、売上高は前年同期比1.3%減の61億円、営業利益は同21.7%減の2700万円と、減収営業減益だった。
今回の決算では、特に国内直営事業の苦境が鮮明となった。同事業同期のセグメント損益は5000万円の赤字(前年同期は2200万円の赤字)だった。赤字は第1四半期ベースで2年連続となっている。売上高は近年横ばいで推移し、成長が止まっている。
国内では、18年6月末時点で大戸屋ごはん処の直営店を354店(うちフランチャイズ店が208店)、直営の新業態店を1店、合計355店を展開しているが、近年、店舗数は伸び悩んでいる。
そして、客離れが深刻だ。18年4〜7月期の客数は前年同期比2.5%減だった。18年3月期が0.3%減、17年3月期が2.4%減、16年3月期が3.5%減、15年3月期が1.3%減と、4年連続で客数減が続いている。
大戸屋、客離れの原因
なぜ大戸屋で客離れが起きているのか。
まずは、高い価格が嫌気されたことが挙げられるだろう。現在、定食(そばメニューなども含む)のグランドメニューで、品数が一番多い価格帯(税込み価格)は900円台とかなり高い。なかには1500円を超えるものもある。たとえば「炭火焼きビフテキ定食」は1790円と、かなり高額だ。大戸屋は大手外食チェーンのなかでは、かなり高いほうに属するだろう。「高級定食屋」といっても違和感がないほどだ。
だが、かつての大戸屋は高級定食屋ではなく、“庶民的な定食屋”というイメージが強かった。たとえば、01年ごろの定食メニューの主要価格帯は600円台で、700円を超えるものがなく値ごろ感が強かった。しかし、現在は定食のグランドメニューで600円台のものは皆無となっており、前述したとおり900円台が主流と、だいぶ高額化している。
この間に消費環境が良くなっていれば問題はないが、そういう状況にはないだろう。日本の人口は08年の1億2800万人をピークに減少に転じており、現在まで縮小が続き、今後も縮小していく見込みだ。給与も上がっていない。国税庁発表の「民間給与実態統計調査」によると、16年の平均給与は421万円で、7年前の09年の405万円から4%増えているが、15年前の01年の454万円からは7%減っている。「消費環境が良くなっている」と自信を持って言うことはできないだろう。価格引き上げが簡単に受け入れられる環境にあるとはいえないのではないか。