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それに対して、スノーピークの商品には保証書が一切ついていない。同社は、アウトドアで使用されるものである以上、常に、いかなる環境下でも確実に作動することが求められると考えている。その上、使って満足できる質感やデザイン性も追求されている。その考えをスノーピークは製品の企画・デザインに落とし込み、テントなどの製品を消費者に販売してきた。また同社は、週末のキャンプから帰った人がテントなどのメンテナンスを受け、翌週にはまた別のキャンプに行けるよう、修理などを迅速に行える体制も整備している。
スノーピークの目指していることは、テントなどの装備に不安を感じることなく人々がアウトドアライフを満喫することといえる。スノーピーク・ブランドのアウトドア関連用品やアパレルを使うことによって、消費者は壊れないという安心感や、良い素材のアパレル製品などを身に着ける満足感を享受することができる。スノーピークのロゴは、それを保証するシンボルであると考えればよい。
地域商社としてのスノーピーク
永久保証を付与するためには、製品が頑丈でなければならない。スノーピークが本拠地とする新潟県三条市は、隣接する燕市とともに古くから金属加工業で栄えてきた。燕市の金属関連の中小企業がアップルの開発したポータブル音楽再生機器「iPod」の鏡面磨きを手掛けたことは有名だ。
スノーピークは、品質が高い上に使って満足できる製品の開発に集中し、実際の生産を金属加工などの技術力を持つ近隣の企業に委託してきた。同社はブランディングに特化して、より高い顧客満足度や自社製品へのユーザー支持の実現にコミットしたのである。
その結果、スノーピークには“地域商社”の機能が加わったと考えられる。地域商社とは、地域の特産品や資源(観光資源や生産技術など)を地域外に流通させ、付加価値を生み出す組織をいう。スノーピークの製品が売れるということは、その生産を支えた地元企業の技術力や製品が都市部や海外の消費者に届けられるということだ。
おもしろいのが、スノーピークのアパレル事業だ。同社は都市で生活する人に、アウトドア向けのアパレルを気軽に楽しんでもらうことを目指している。具体的に重視されているのは、着心地の良さやアウトドアの機能を普段着に付け加えることだ。そのために、同社のアパレル事業では国内で生み出された繊維や染色の技法などにこだわっている。
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