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アウトドア用品「スノーピーク」は日本を救う…商品永久保証&地元企業生き返らせの奇跡

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 2018年3月から、同社は「LOCAL WEAR by Snow Peak」と銘打ったアパレル事業を展開している。これは、1シーズン1産地に限定して、その土地の文化、風土、技法に根差した衣類をデザイン・販売する事業だ。各地の染色や織物の技術を用いることに加え、スノーピークはその土地での働き方を体験したり、生産現場を見学するツアー(LOCAL WEAR TOURISM)も提供している。

 こうした取り組みは、人口の減少に直面する地域の活性化につながる可能性を秘めている。地域商社が各地の特産品を地域外の市場に流通させることは、地方経済の創生に不可欠といえる。それに加え、域外からその土地を訪れる人が増えることは、多くの人がその土地の良さに気付くことにもつながるだろう。

地方に眠る付加価値創造のチャンス

 
 スノーピークという企業は、わが国の地方の産品や伝統技術などを自社の製品のデザインなどに落とし込み、都市部や海外の消費者に向けて販売することがうまい。同社は単に品質の高いものを販売しているのではない。同社の製品には、アウトドアや各地域での生活に根差したイメージが付け加えられているといえる。それは、都市部などで生活する人にとって新鮮な感覚(他の企業の製品にはない満足度、日常とは違う感覚の実感)であるはずだ。それが多くの共感を呼び、収益の獲得につながっている。

 見方を変えると、同社は流行ではなく、わが国の地方で受け継がれてきた伝統技術や発想に着目して、人々が心地よく、長く大切に使いたいと感じる製品のアイディアを生み出し、収益を獲得している。長く受け継がれてきたモノやコトには相応の良さがあるということだろう。

 このように考えると、スノーピークは、発想の転換によって従来にはない満足感を生み出す企業というべきだ。同社の事業戦略の中核は、多くの人が目を向けていない地方の資源を発掘し、活かすことにあると考えることもできる。スノーピークのLOCAL WEARプロジェクトは、高齢になり機織りが難しくなっていた女性と同社のデザイナーの出会いがきっかけになった。各地域の文化(人々の生き方)、伝統に根差したモノやコトには、多くの人が触れたい、実感したいと思う魅力がある。そう思うか否かは、発想の仕方次第だ。

 スノーピークの成長は、わが国の地方には付加価値を獲得するチャンスがあることを示している。同社には、その取り組みをさらに強化してほしいと思う。国内の文化や伝統に根差した製品がより多く生み出され、収益の獲得につながれば、地方に成功のチャンスがあるとの見方も増えるだろう。それは、各地での起業の増加や中小企業の後継者の確保などにつながり、わが国の地方創生を後押しすることにもなるだろう。ブランディングを通した地方の魅力の発信という点で、スノーピークのさらなる取り組みと成長に期待したい。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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