※各業界の最新ニュースをお届けする新ニュースサイト「Business Topic」がオープンしましたので、ぜひご利用ください。
今年3月末時点で、スタバのチェーン店数は46都道府県で985店。これでスタバの空白県は鳥取県だけとなった。今年中にチェーン店数が1000店を超え、空白県解消が確実視されている。
●際立つスタバの躍進
スタバの好業績が続いている。同社の2013年3月期決算は売上高1165億円、営業利益97億円、当期純利益53億円で、いずれも2期連続で過去最高額を記録。14年3月期も過去最高額を更新、営業利益100億円の大台実現を見込んでいる。
好業績の要因は、既存店の売上高増加だ。昨年3月から今年5月まで、14カ月連続で前年同月比を上回っている。
スタバのコーヒーは1杯300円(定番のドリップコーヒー、ショートサイズ)。競合相手であるドトールコーヒーショップ(ドトール)の200円(定番のブレンドコーヒー、Sサイズ)より100円高い。さらに「季節のおすすめ」などの人気メニューとなると500〜600円台で、かなり高額。こちらは喫茶室ルノアールなどフルサービス喫茶の値段に引けを取らない。
それでも人気が高いのは、他のセルフ式コーヒーチェーンにない、おしゃれで居心地の良い雰囲気にあるといわれている。
スタバは米スターバックスのアジア進出第1弾として1996年8月、東京・銀座に1号店・銀座松屋通り店を開店。以降、毎年積極的な出店を続け、今年中に1000店超え(1号店開業から17年目)を狙うところまで急成長。今やセルフ式コーヒーチェーントップのドトールの1102店(13年2月末現在)に、あと一歩まで迫っている。
また、同じシアトル系でスタバから1年遅れで日本に上陸したタリーズが507店、99年1号店出店のサンマルクカフェが320店、一時は「ドトールのライバル」と目されたカフェ・ベローチェ(86年1号店出店)が181店にとどまっているのと比べても、その躍進ぶりは際立っている。
こうしたスタバの成功要因やビジネスモデルの特徴は、解説本が多数出版されているので省略する。
だが今は「スタバの勢いはどこまで続くのか」についての関心が、コーヒーチェーン業界関係者の間で絶えない。
そこで足元のコーヒーチェーン市場では、どんな変化が起きているかが気になるところだ。
●スタバの成長に忍び寄る影
外食産業総合調査研究センターの推計によると、喫茶店市場は82年の1兆7396億円をピークに減少を続け、12年の市場規模は1兆197億円。ピーク時に比べ、41%も市場が縮小している。
また、総務省統計局の「事業所統計調査報告書」によると、喫茶店数は81年の15万4630店をピークに減り続け、09年の店舗数は7万7036店。こちらもピーク時の半分に減っている。
喫茶店市場縮小の最大要因は「個人経営喫茶店」の衰退といわれている。そのなかで過去20年ほどの間、成長し続けてきたのがセルフ式コーヒーチェーンだった。
このセルフ式コーヒーチェーンは、00年頃を境に「2強その他」の競争構造が明らかになってきた。
2強はドトールとスタバ、その他はタリーズ、サンマルクカフェ、プロント、カフェ・ベローチェなどを指す。売上高で見ると、2強で66%のシェアを占める寡占状態と推定されている。
しかし、スタバが1000店超え目前に、成長の曲がり角に来ている。
同社は集客力のある大都市にドミナント出店し、そこでビジネス層を中心に、多彩なコーヒーメニューと「寛ぎのサードプレイス(自宅、職場に次ぐ第3の居場所)」をコンセプトに強烈なブランドイメージを作り上げ、そのブランド力で成長してきた。今やそのブランド力は抜群。
ところが近年は大都市でのドミナント出店が飽和状態になり、現在はロードサイドのショッピングセンター、高速道路サービスエリアなどへの出店を強めている。これにより、客層がファミリー層にまで拡大した半面、ビジネス層の間でステータス的な存在にさえなっていた「スタバ」のブランドイメージが希薄化し、ブランド力の低下を招いている。
そんなスタバへ昨年頃から襲いかかってきたのが「異業種カフェ」だ。
●スタバに襲いかかる対抗勢力
ここでいう異業種カフェとは、ハンバーガーチェーン、コンビニ、ファミレスなどが展開する店内カフェのこと。
例えば、マクドナルドは昨年7月、原宿表参道店(東京・渋谷)内に「マックカフェ バイ バリスタ」1号店を併設、今年末までに同カフェ併設店を200店まで拡大、さらに5年後をめどに1000店まで拡大する計画を明らかにしている。
マックが成功すれば、他のハンバーガー大手も一斉に追随するのは必至だ。