TBSへの株主提案に機関投資家4社が賛成
TBSホールディングスの株主総会では、英国のアクティビスト(物言う株主)のアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が、政策保有株を株主に還元することを提案した。政策保有株とは、株式持ち合いのために保有している株式のことで、持ち合い株ともいう。
AVIはTBSが保有する半導体製造装置メーカー、東京エレクトロン株を現物で配当するよう株主提案をした。提案理由は以下の通り。
「貴社の資産の72%が本業に不必要な投資有価証券、不動産及び現金で構成され、特に政策保有株式の総資産に占める割合は54%と異常に大きく、中でも東京エレクトロン社の株式は不相当な割合(総資産の19%、政策保有株式の35%)を占めます」
TBSが過大な政策保有株式を抱えることへの説明責任を果していないとし、TBSが持つ東京エレクトロン株約770万株の4割、約300万株を配当財産としてTBS株57株当たり東エレ株1株を株主に現物配当するよう求めた。TBS側は、この議案に反対を表明した。
株式の持ち合いは日本的慣行で、AVIはそこに目を付け問題点を浮かび上がらせた。株主提案への賛成率は11.26%だった。ニッセイアセットマネジメントなど機関投資家4社が賛成した。ニッセイアセットマネジメントの4~6月の総会での議決権行使結果によると、121件の株主提案のうち賛成は12件、反対は109件。TBSに対する株主提案には「判断基準」に基づき賛成した。
アルパインへの株主提案で判断が分れる
アルプス電気による完全子会社を控えたアルパインの株主総会では、会社側の提案に対する賛成比率が大幅に低下した。アルパインが公表した議決権行使結果によると、会社側が提案した取締役15人の賛成率は65.0~75.5%にとどまった。昨年は全員が90%以上の賛成を得ていた。
筆頭株主のアルプス電気の持ち株比率は40.4%。香港の物言う株主、オアシス・マネジメントが少数株主に不利な株式交換方式ではなく、TOB(株式公開買い付け)による合併を求めていることに、少数株主が賛同したということだ。
アルパインは12月に臨時株主総会を開催しアルプス電気による買収を諮るが、過半数ではなく出席株主の3分の2以上の承認が必要。そのため、オアシスは定時株主総会を臨時株主総会の前哨戦と位置付け、勝敗ラインを3分1に置いた。
オアシスは18年3月期の期末配当を1株325円(会社提案は15円)に引き上げる株主提案をした。増配を求める株主提案は28.57%の賛成を得た。3分の1には届かなかったものの、3割に迫る支持を得た。
増配を求めた株主提案に機関投資家の判断は割れた。三菱UFJ信託銀行は株主提案を過剰の配当として反対、会社側の配当策を支持した。ニッセイアセットマネジメントは逆に会社提案に反対し、株主提案に賛成。野村アセットマネジメントは双方に賛成した。株主提案を過大な配当とは判断しなかったようだ。
今後、株主提案への機関投資家の賛成比率が高まることは間違いない。
(文=編集部)