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また、点数で上位のトヨタ「ハリアー」の実験結果からは、同車種が比較的スピードが出ている状態での対歩行者の自動ブレーキの作動が弱いことが見て取れる。たとえば、10~45キロまでの走行試験では遮蔽物のない状態でのダミー人形の検知は問題なかったが、55キロ、60キロではダミー人形に衝突してしまうこともあった。
さらに、満点を獲得したマツダ「CX-8」であっても“絶対安全”ではないという点は注意が必要だ。昨年の発売以後、SUVの人気車種として若い世代から圧倒的な支持を受けているCX-8は、さすがに満点を獲得しただけあって、試験結果は非常に優れている。しかし、結果を細かく見ていくと、低速の10キロで走行中に遮蔽物のない条件で、ダミー人形に3回中1回は衝突してしまっている。初速10.2キロで走行中、完全に停止できずに5.5キロまで減速したところでダミー人形にぶつかったのだ。
20~60キロまでの実験では問題なく作動しただけに、この結果は、自動ブレーキがいつどんな場合でも作動するわけではないことを証明しているといえる。また、このNASVAの実験は、前方の見通しが良い日中に行われている。もし悪天候時や夜間に実施すれば、結果が大きく変わる可能性が高い点も考慮すべきだろう。
これらの結果に鑑みて、ハンドルを握るドライバーが肝に銘じておかなくてはならないのは「自動ブレーキを過信してはいけない」ということだ。自動ブレーキはあくまで安全運転支援システムであり、運転に対して全責任を持つのはドライバーなのだ。そうした心がけさえ忘れなければ、自動ブレーキは事故防止に十分な効果を発揮し、悲惨な交通事故の減少にもつながるだろう。
(文=及川知晃/ジャーナリスト)
【※1】
「予防安全性能アセスメント(2017年度評価)」(自動車事故対策機構)
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