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日産ゴーン容疑者、懲役4年程度の実刑が濃厚…脱税なら高利率のペナルティ課税も

文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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日産ゴーン容疑者、懲役4年程度の実刑が濃厚…脱税なら高利率のペナルティ課税もの画像1逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(写真:AFP/アフロ)

 11月19日、ルノー・日産自動車・三菱自動車工業の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者と日産代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者が、金融商品取引法違反の容疑で東京地方検察庁特別捜査部に逮捕された。

 ゴーン容疑者はケリー容疑者と共謀して、報酬を約50億円過少申告していた疑いがあるという。また、日産は私的な目的での投資資金や経費の支出についても言及しており、複数の重大な不正行為があったことを明らかにしている。

 2人の認否については不明だが、カリスマ経営者の行く末はどうなるのか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は、以下のように解説する。

逮捕の決め手となった金商法違反とは?

 今回、ゴーン容疑者らは金融商品取引法違反の疑いで逮捕されましたが、そもそも金融商品取引法とは、株式や証券などの「金融商品」の取引を適正に行うためのルールを定めた法律です。かつては証券取引法という名前でしたが、株式や証券などの目に見えるもの以外にも、近年、よくわからない“ファンド”や“デリバティブ”などが増えてきたため、そのような取引を広く取り締まるために新しく制定されました。

 同法のうち、今回の件にかかわる部分を概説すると、金融商品取引法は「適正な取引」を守ることを至上命題として、これを害する行動などに対しては、厳しい態度を取ります。たとえば、「農業用水路から田んぼに流れてくる水流の向きを勝手に変えたり、水弁に細工して自分の田んぼにたくさん水が流れるようにしたりする」ことを想像してください。

 このようなことをすれば、地域で仲良く分け合ってきた「限られた水」がひとりの身勝手な行動によって混乱してしまいます。同じように、「金融商品の取引に対し細工をするなどして、その取引を害する」ことは、日本のみならず世界中の投資家や企業に対し、際限なく悪影響を及ぼしてしまうおそれがあるわけです。

 今回、「有価証券報告書に役員報酬を過少記載したこと」が問題とされています。「有価証券報告書」とは、日産のように株式を公開している企業が3カ月に1回、その企業の情報(売り上げはどうか、会計はしっかりやっているか、誰が株主か、など)を金融庁に報告するものであり、一般に公開されています。そして、投資家などは、その「有価証券報告書」を熟読して、その会社の株式を取引するかどうかの参考にするわけです。

 この報告事項の中に「役員の状況」という項目があり、ここで「役員の報酬」を報告することが義務付けられているわけです。まぁ、役員報酬が増え続けていれば、元気な企業として投資対象になる、という判断にもなるのでしょう。

 もし、本当に「役員の報酬」を過小報告していて、「重要な事項について虚偽の記載をした」と判断されるのであれば、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金が科される場合もあるでしょう(金融商品取引法第197条)。

 また、ゴーン容疑者だけでなく、これは刑法でいう「罰金」ではないのですが、日産に対しても「課徴金」という行政上の制裁金を支払う義務が課せられることもあるようです。これらのペナルティを見るだけでも、「金融商品の取引に対し細工をするなどして、その取引を害する」ことが、いかに重い罪になるかが理解できるでしょう。

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