メルカリの喫緊の課題はユーザーとの関係性構築
先述した決算説明会でメルカリは「安全・安心な取引環境の強化」として4つの指針を打ち出しており、そこには「本人確認の強化」も挙げられている。具体的には、「反社会的勢力や悪質な行為を行う利用者の排除を強化」するとのことだ。
「これはそのまま、警察からの要請でしょう。たとえば10月下旬、少なくとも6万個以上のメルカリのアカウントを不正に作成・販売していたとして、2人の逮捕者が出ました。複数のアカウントを取得するということは、それだけ売るものがたくさんあるということで、盗品や偽物を売買しているおそれが非常に高いわけです。メルカリは厳密な本人確認によって犯罪を防がなければならず、さもなければ、反社会的な人物の不正な商売に手を貸している集団だと警察に認識されてしまうのです。
とはいえ、このように利用者のモラルが問われるのはメルカリに限らず、1999年にサービスが始まった『ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)』にも当てはまる話でした。しかし、『ヤフオク!』は現在、本人確認も含めてきっちりとした仕組みができあがっていますし、メルカリのようにユーザーの売上金をプールするという面倒なこともしていません。
要は、ビジネスの拡大スピードに社内の体制が追いついていないのがメルカリの根本的な課題であり、今はまだ、できて当たり前のことができていないのではないでしょうか。上場企業ならば社会的な説明責任もありますし、脇が甘いと、今後新しいサービスが出てきたときにユーザーは逃げていってしまいます。
とにかくメルカリは、これ以上ユーザーに負担をかけないよう、本人確認の進捗状況をマメに伝えたり、年末までにどういう取り組みをするかを詳細に発表したりと、ユーザーとの関係性をちゃんと構築していかなければなりません。逆にいうと、ここで『実は信用できるサービスだ』と世間に思わせることができれば、メルカリはこの先も強いビジネスになっていきそうです」(同)
フリーマーケットアプリとしての地位を確立するために、どれだけユーザーからの理解を得られるか。メルカリは、まさに今が正念場なのかもしれない。
(文=A4studio)