片山修のずだぶくろトップインタビュー 第15回 嶋津昭氏(ラグビーW杯2019組織委員会事務総長)

日本人だけが知らない、来年ラグビーW杯日本大会の衝撃…スポーツ界の歴史的転換点に


片山 日本大会は全48試合ですが、チケットはどれくらい売るんですか。

嶋津 全部で180万枚を売る計画です。イングランド大会では250万枚を売っていますが、スタジアムのスケールが違いますから日本との単純比較は難しい。イングランドには7~8万人を収容するスタジアムが複数あるのに対し、日本は最も大きい横浜国際総合競技場が7万2000人、あとは2~5万人程度のスタジアムで、もっとも小さい釜石のスタジアムは1万6000人です。ラグビーの基盤も違います。180万枚は日本では十分にチャレンジングだと思っています。

片山 売れ行きは順調ですか。

嶋津 180万枚のうち半数はワールドラグビー(世界のラグビーの統括団体)が、各国のラグビー協会、ホスピタリティプログラムやスポンサーなどに向けて販売します。われわれ組織委員会は、残りの90万枚を世界中のラグビーファン向けにインターネットを通じて販売します。今年1月から関係者向けの先行抽選販売を開始し、9月以降、一般の方にも抽選販売してきました。

 われわれの販売する90万枚についていえば、すでに約7割の60数万枚が売れていて、過去大会と比較しても非常に好調です。もっとも、われわれの最大にして最終の目的は48試合すべてを満席にすることです。現状、開幕戦となる東京スタジアムでの日本戦や、横浜スタジアムの決勝戦などに集中してしまうので、販売状況はいわば“まだら模様”です。すべてを満席にするためには、W杯の持つ価値、魅力をしっかりと伝えていかなくてはならないと考えています。

片山 ラグビーW杯の認知度は上がっていますか。

嶋津 認知度は、定点調査をしています。15年大会で南アに勝ったときにはドンと上がり、以降、なだらかに下降傾向でした。しかし、今年10月時点で再び急速に伸び、現状、15年時点を5%ほど上回る68%くらいですね。大会に向けて100%に近づけようと努力しているところです。

経済効果・地域活性化

片山 ラグビーW杯は開催期間が長いですね。日本大会は44日間です。ファンには、比較的富裕層が多いことも知られていて、開催期間中に多くの観光需要が期待できます。経済効果をどう見ていますか。

嶋津 イングランド大会などを参考にして分析すると、4400億円弱の経済効果が期待されています。ただし、これはインバウンドのお客様のツアーや消費需要が大きなウェイトを占めます。訪日客数や滞在期間、消費額が増えればさらに大きなものとなります。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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