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そもそもゴーン氏は、課税上では日本の非居住者であろうから、報酬の支払者、つまり日産による源泉徴収をもって課税は完結することになる。非公表分があったとしても、日産側で源泉徴収は行ったはずと推測することが妥当である。源泉徴収すべきであったかどうかは、実際の報酬と報告書の報酬の差である約18億円が、将来の所得として実現したか否かが争点になるが、もし実現した所得であるとの決定的証拠があれば、それを記載および源泉徴収していない日産も、ゴーン氏の脱税への関与責任を問われるはずであろう。しかし、証拠が見つかったという情報はなく、日産の責任を問えない以上、ゴーン氏を所得税法違反(脱税)で立件することはできないということになる
一方、ゴーン氏の居住地国側での課税には問題があるかもしれない。ゴーン氏は仏ルノーの会長を務めているので、課税上の居住国がフランスである可能性は考えられる。もし、特捜部がゴーン氏の所得過少申告(脱税)の確固たる情報を得ているのであれば、それをフランスの税当局に提供してフランスで立件してもらえばよい。そうすれば、ゴーン氏は日産のみならずルノーの会長も退任したはずである。日産にとっては、一石二鳥である。
つまり、特捜部がゴーン氏逮捕というリスクを冒さなくとも、西川廣人社長によるクーデターともいわれるゴーン氏排除という目的は達成できたはずである。しかし、そのような動きを特捜部がしたという情報はない。
豪華住宅の私的利用や、その他の費用の会社への付け回しなどは、ゴーン氏が会社から得た報酬(みなし賞与)と位置付けるべき経済的利益として課税対象認定されるのであれば、日産側に源泉徴収義務がある。もし、日産が源泉徴収を行っていなければ、それは日産の責任である。
つまり、特捜部にはフランスの税務当局に伝えられるような、日産が源泉徴収義務を負うゴーン氏への経済的利益供与以外での脱税の確証情報はないのであろう。実際、ルメール仏財務相は、フランスの税務当局にゴーン氏に関する調査を依頼し、特別な問題は見つかっていないことを明らかにしている。
株主が被る不利益は大きくない
現在日本で報道されている内容は、「尾ひれはひれ」が付けられた「ゴーン氏は巨額所得隠しをする極悪人」というストーリーだ。脱税で立件するほうが普通であり、特捜部が、国際問題にも発展するリスクをあえて負ってまで、金融商品取引法違反でゴーン氏を逮捕した理由はなんなのであろうか。
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