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幸楽苑、290円中華そば終了&高価格化で深刻な客数減→肉増量した途端に突然V字回復

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

「味の改革」が奏功

 商品力の欠如という問題も抱えていた。看板商品だった290円(税抜き、以下同)の「中華そば」を15年5月に販売を終了させ、代わりに高単価の新しい醤油ラーメン司(520円)を販売するなどしたが、人気があった290円中華そばの穴を埋めるまでにはいたらなかった。原材料費が高騰していたため高単価のラーメンへのシフトを図ったのだが、節約志向を強める消費者に受け入れられなかった。

 味が大して向上していないなかでの高価格帯への移行だったため、消費者に受け入れられなかったのは当然のことだった。そこで幸楽苑は経営改革の一環として「味の改革」を打ち出し、味の向上を図った。

 まずは、価格はやや高いが付加価値の高い商品を投入することにした。17年7月に塩分を従来と比べ大幅に抑えた「減塩中華そば」(420円)を発売し、健康志向の消費者の取り込みを狙った。同年10月には790円と高単価の「ふかひれ姿煮らーめん」を一部の店舗で発売した。こういった付加価値の高い商品を随時投入し、幅広い消費者ニーズに対応できるようにした。

 看板商品のブラッシュアップも図った。「あっさり中華そば」を「極上中華そば」(390円)に、「ギョーザ」を「餃子『極』」にそれぞれ改名・改良し、今年4月に販売を始めた。中華そばはスープを刷新し、チャーシューを増量した。餃子は肉の量を増やした。このブラッシュアップが功を奏し、発売から約6カ月後の10月末時点で、極上中華そばは800万食、餃子『極』は1200万食を販売する大ヒット商品となった。

 定期的に期間限定の商品を投入するようにもした。たとえば、3月から「ゆず塩野菜らーめん」、5月から「野菜たっぷり味噌つけめん」、7月から「台湾野菜まぜめん」、9月から「煮干しらーめん」、10月から「味噌カレーらーめん」をそれぞれ期間限定で販売した。目新しい商品を次々と打ち出すことで、新規顧客の獲得を図ったほか、飽きさせないことで既存顧客のリピート率の向上も狙った。

 懐かしの味を復活させるという取り組みも実施している。9月に期間限定で、290円中華そばを復活させるかたちで「中華そばクラシック」を販売した。極上中華そばと食べ比べることができるセットメニューも割引価格で用意し、復活を盛り上げた。これらは予想を超える注文があったといい、一部の店舗では品切れが発生するほどだった。11月からは、かつて展開していたラーメン店「㐂伝(きでん)」のラーメンを復活させるかたちで「㐂伝らーめん」を期間限定で販売している。

 フェイスブックツイッターなどのSNSやテレビCMを積極的に活用したことも功を奏した。テレビCMでは、たとえば、頭にウソ発見器を取り付けたタレントの三戸なつめさんが極上中華そばを食べて「おいしい」とコメントしてもウソ発見器が反応せず、研究員の判定の結果、それが嘘ではなかった、というストーリーのCMを放映した。SNSでは、たとえば、10種類のラーメンを無料で提供した人に味に対する率直な感想をSNSに投稿してもらう「味に喝!キャンペーン」を実施した。

 これらの施策により、味の向上に努めていることをアピールすることができ、集客を図ることに成功した。

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