日産以外の“お引き取り願いたい”トップ
日産以外に目を転じると、“長老系”の経営者は皆、意気軒昂だ。
スズキの鈴木修会長は、19年1月末に89歳の誕生日を迎える。
「死ぬまで現役でやるんじゃないか。息子の鈴木俊宏社長は、人がいいだけで頼りないという評価だ。とても任せられないだろう」(外資系証券会社の自動車担当アナリスト)
年齢順に、長くトップを続けている経営者をリストアップしてみる。
信越化学工業の金川千尋会長は92歳。住友不動産の高島準司会長は88歳。大日本印刷の北島義俊会長は85歳。
安倍晋三首相が財界人とゴルフをする時に人選を任されているキヤノンの御手洗冨士夫会長は83歳、富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長は79歳、JR東海の葛西敬之名誉会長は78歳。老いてますます盛んな人たちばかりだ。富士フイルムHDは事務機大手、米ゼロックスの買収が事実上、頓挫した。事務機器市場はペーパーレス化の影響で長期的に縮小が見込まれる。
リストラの連続で往年の輝きを失った日本電気(NEC)の遠藤信博会長も65歳だが、経済同友会の副代表幹事に就任することが決まった。検査データの改竄問題の責任を取っていない三菱マテリアルの竹内章会長(事件当時は社長)は、いつまで居座るのかと注目されている。
検査データ問題で責任を取っていない代表選手は竹内氏と、日産のゴーン被告、西川氏の2人である。
ある財界幹部は、こう言う。
「会社を手放す(会長、社長を辞める)タイミングとしては、70歳前半がひとつの節目。それくらいの年齢になると、妻とゆっくり余生を楽しむか、という気になる。しかし、そのタイミングを逸して80歳を過ぎると、もう辞める元気がなくなる。辞めるにもエネルギーが必要なので、そのまま続けることになりがちだ」
日本では、退き際の鮮やかさが重んじられる。桜の花のように、ひらひらと散り、後に厭味を残さない。それが「退き際の美学」である。実際には、退き際を間違え晩節を汚す人がいかに多いかということだ。
晩節を汚すどころか、若き日の高名をまったく無にしてしまうことすら往々にある。
(文=編集部)