第4位は三菱ケミカルホールディングスの子会社で産業ガスの製造・販売を手掛ける太陽日酸による米同業大手のプラクスエアの欧州事業の買収で6438億円。太陽日酸は欧州事業に参入し、欧州の産業ガス市場で16%のシェアを獲得する。一方、プラクスエアはドイツの企業との経営統合を計画。欧州での独禁法違反の懸念を緩和するため、売却先を探していた。
第5位はJERA(ジェラ)による東京電力FP・火力発電事業の6289億円の買収。JERAは東京電力と中部電力が共同で設立した火力発電会社。JERAが東京電力FPと中部電力から火力発電所の資産を買い取り、国内最大規模の火力発電事業者になる。
ランキングは11月末現在で作成されているが、12月にも大型買収の発表があった。
日立製作所は12月17日、発電所から家庭や工場に電気を送り届ける送配電システム事業を、世界最大手のスイスのABBから買収すると発表した。同事業の株式8割を7000億円で取得し、最終的には100%傘下に収める計画だ。18年の巨額買収ランキングで3位に入る買収額だ。
日立のような日本の伝統的な大企業で、海外での大型M&Aが成長戦略として定着するかの試金石となる。東芝が米国の原子力発電事業の買収失敗で経営危機に陥ったことは記憶に新しい。
世界に目を転じると、1兆円を超えるM&Aが目立つ。そのなかでも、武田薬品の巨額買収は世界ランキングで2位となる。ちなみに世界1位は、ユニリーバNV(オランダ)によるユニリーバPLC(イギリス)の906億ドル(約10兆円)の買収。ユニリーバはオランダとイギリスの両方に別組織の本社を持ち、2つの株式市場で上場していた。1年前にクラフト・ハインツから買収提案があったことから会社を一体化することにした。オランダのNVがイギリスのPLCを吸収する。
世界5位は携帯電話会社Tモバイル(米国)による同業スプリントの買収。スプリントはソフトバンクグループ(SBG)、Tモバイルはドイツのテレコムが株式の大半を握る。合併は株式交換方式で586億ドル(約6500億円)規模で行われ、スプリントが新生Tモバイルの100%子会社になる。
これにより、スプリントはSBGの子会社ではなくなるが、SBGは新生Tモバイルの株式を一部保有することになる。
(文=編集部)