「やはりユニクロは良質な素材を使っていますし、若い世代から高齢者まで幅広い世代にウケる、ベーシックなアイテムがメイン。それと同時に、トレンドを意識したアイテムも取り入れていますから、今後も日本の“プチプラ”を支えていく存在になりそうです。ベーシック寄りのブランドですと、ほかには無印良品も優れていますね。
一方でGUは、若い世代が顧客のほとんどを占めているのではないでしょうか。今まではアラサー・アラフォーの人々も興味を示していたものの、GUというブランドの認知度が上がれば上がるほど、同じ服を着る人たちが増えていきます。上の世代の人々は、街ですれ違う若者と服の柄が被るようなことがあると恥ずかしくなってしまいそうですし、それが理由でGU離れが進んでいるという可能性は考えられそうです。
しまむらも、今年になってZOZOTOWNに出店したことが話題になりましたが、いまだにワンマイルウェアの域を出ておらず、本格的なお出かけ着にはなり得ないというイメージがあります。若い世代の人々は、しまむらといえども『安くてこれだけトレンドを取り入れていたら充分』と捉えるかもしれませんが、上の世代は抵抗感を抱くでしょう。もっとアッパー向けであったり、万人ウケしたりするアイテムをつくっていかないと、これ以上の広がりは難しそうです」(同)
こういった事情を踏まえると、日本におけるファストファッション業界の未来はどうなっていきそうか。
「ユニクロはいうまでもなく、GUもなんだかんだで消えないと思います。ブランド同士で持ちつ持たれつというわけではないですが、ユニクロはベーシック、GUはトレンドライクという感じで棲み分けしていくのかもしれません。カシミヤなどの高見えする服が欲しくなったら、少し値が張ってもユニクロで買えばいいですし、流行のものを安く揃えたいならGUに行けばいい。人々は両方の店舗をチェックして、価格と品質のコストパフォーマンスを考慮しながら買い物することになりそうですね。
国内ブランドに対し、外資系はどんどん淘汰されていく気がするものの、スペイン発のZARAは生き残れるのではないでしょうか。これはGUにもいえることなのですが、ZARAは靴やバッグなどの小物に定評があり、女性に根強い人気を誇っています。突拍子もないアイテムもあるにせよ、ちゃんとベーシックなものも取り扱っていますので、『もう一歩先のオシャレがしたい』という一定数の人々の欲を満たしているのです。ユニクロほど一般ウケはしないにしても、ZARAに行けば、今の世界で流行っているアイテムが見つかるという安心感が得られるでしょう。
なお、現在は若い世代から上の世代まで、スマートフォンで情報収集するのがスタンダードになってきています。若い世代は特にですが、コストパフォーマンスや時短ショッピングを重視する傾向にありますので、これからは店舗でじっくり服を選ぶというより、オシャレ感度の高い人がSNSなどでオススメしている商品をキャッチするというパターンが多くなりそうです」(同)
これだけネットワークが発達した今、ファストファッションの各ブランドがこの先も存続していくためには、SNSを含むネットでのアプローチが必要不可欠なのだろう。
また、GUは昨年11月、店舗には客が試着できるサンプル商品しか置かず、実際の売買はネットへと誘導する“試着専門店”を、東京・原宿にオープンした。各ブランドはネットの活用と並行し、“実店舗”をどのように機能させるべきかという試行錯誤にも、絶えず取り組んでいかなければならないようだ。
(文=A4studio)