クラシック・オーケストラ、とても動きにくそうな「黒の燕尾服」を着て演奏する理由
昨年、僧衣を着て運転していた男性僧侶が、福井県警に交通違反切符(青切符)を切られたというニュースが話題になりました。僧衣が「運転者の衣服規制」に違反するということですが、納得のいかない僧侶は罰金の支払いを拒否。総本山浄土真宗本願寺派も、「裁判になったら、全面的にバックアップする」とヒートアップ。
動画共有サイト「YouTube」上でも、僧衣を着た僧侶によるジャグリングや、縄跳びの二重飛びが「#僧衣でできるもん」というハッシュタグとともに拡散され、英国国営放送BBCでも取り上げられ、世界的にも関心を集めました。
結局、今年に入って福井県警は一転。証拠不十分として、送致しないことに決定。しかし、僧侶が「今後、僧衣での運転はどうなるのか」と警察に尋ねても明確な返答はなく、「違反を取り消されても、僧衣で運転していいのかどうか、はっきり言ってくれない限り、これから運転できない」と、不満をあらわにしているそうです。
福井新聞によると、「運転者の遵守事項」のなかに服装規定があるのは、福井をはじめとして15県のみだそうです。ちなみに、本願寺派の総本山、西本願寺のある京都では、そんな規定はありません。ただでさえ、たくさんの僧侶が自動車で檀家周りをしている京都市にそんな規定ができたら、大騒ぎになるでしょう。しかし、現状では、京都府を気持ちよく僧衣姿で運転していても、衣服規定がある福井県、滋賀県、三重県に入ったとたんに、パトカーにサイレンを鳴らされるかもしれません。
※福井県警は、4月4日から衣服規定を削除すると発表しました。文末に追記
昨年1年間で福井県警は、ほかにも僧衣を着た男性僧侶1人と、着物を着た女性2人に対し、青切符を切ったそうです。実際には着物だけがターゲットになっていますが、この話題を聞いて僕は、指揮者の舞台衣装である「燕尾服」は大丈夫だろうかと、ふと考えました。