ロイホが手がけるリッチモンドホテルが顧客満足度1位のワケ…京成電鉄とのホテルが感動的
自社物件が「宿泊型」で花開くか
合弁企業である、前述「KR」の社長は加藤雅哉氏だ。京成電鉄常務取締役を兼任する加藤氏は、もともと金融畑(日本興業銀行→みずほ証券執行役員)出身で、京成では関連事業を管轄する。いわば“外部目線”も持つ担当役員が、新ホテル事業の陣頭指揮を担う。
「京成電鉄の中長期計画の一環でホテル事業も推進しますが、これまで、ややもすれば関連事業やイベントも『点』になりがちでした。それをロイヤルさんの飲食・ホテル事業で培った“もてなし”のノウハウを学び、京成が持つ沿線や物件“開発力”の強みと合わせて『線』や『面』の事業にしていきたい」(加藤社長)
京成という会社は、鉄道輸送で培った「安全運転」の意識が強いのか、「冒険心=踏み出す力」が弱い一面も感じてきた。一方で豊富な自社所有物件もあり、開発ポテンシャルは高い。それが今回の事業でどう変わるか。
ホテル客室のベッドは宿泊客の評価が高い「シモンズ」製で、チェックインは14時、チェックアウトは11時と、こちらも近年人気の時間帯を採用している。仕事で利用するビジネスパーソンに聞くと、「翌日の仕事が朝早い場合は別だが、出張先での朝はゆっくりしたい。チェックアウトが10時と11時では全然気分が違う」という声が圧倒的だ。まずは消費者意識にきちんと寄り添った、ともいえよう。
「2号店の出店も進めています。まだ詳細は明かせませんが、場所は墨田区内で、21年度内の開業を予定しています」(加藤社長)
江東区に続き墨田区と城東エリアから展開するようだ。門前仲町の立地場所は、もともと京成グループのタクシー会社「帝都自動車交通」の本社跡地だという(現在、同社は中央区日本橋に移転)。「お客を運ぶ」のが得意な企業体として、宿泊型ホテル事業は“急発進”せず、エンジンを温めてから進行する計画のようだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)