自己株式を除く発行済み株式数の約28%に当たる最大2670万株を取得する。買い付け価格は1株当たり1500円。買い付け資金400億円は三井住友銀行が融資した。新明和は「レノ側が公開買い付けに応じる意向を表明した」と説明した。
レノが新明和株式の買い占めを始めたころの株価は900円台だった。1500円で大半を買い取らせることとなり、レノの“完勝”といえる。レノと共同保有の新明和株式の保有率は4.26%と、5%を割った。
旧村上ファンドの次の標的は?
次のアクションは、東証1部上場のマクセルホールディングス(HD)株式の大量保有だった。旧社名は日立マクセル。日立製作所の電池子会社だった。日立は「親子上場」を解消するため、上場子会社株の売却を進めた。日立マクセルは日立の子会社から切り離され、17年10月にマクセルHDへと社名を変更した。
旧村上ファンドの南青山不動産は18年10月24日、マクセルHDの株主として登場。共同保有者と合わせてマクセルHDの株式5.16%を保有していることを開示した。共同保有者は南青山不動産と村上世彰氏の長女・野村絢氏。その後、19年3月20日には11.82%まで持ち株比率を高めた。マクセルHDの潤沢な手持ち資金に目をつけ、株主還元を迫るものとみられている。
次にターゲットにしたのは、東証1部上場の独立系自動車部品メーカーのヨロズだ。レノは19年4月4日、大量保有報告書で共同保有を含めヨロズ株を5.05%保有していることを明らかにした。共同保有者はレノと野村絢氏の夫・野村幸弘氏である。
レノは15年10月、投資会社、C&Iホールディングスと共同で10.38%のヨロズ株式を保有。配当の上積みを要求した。その後、ヨロズ株を売却しており、今回は再挑戦となる。こちらも株主還元が狙いだろう。
企業統治問題に揺れるLIXILグループの名前が次の標的として挙がる。昨秋、CEO(最高経営責任者)を退いた瀬戸欣哉氏が、自身を含めた8人の取締役候補を6月の定時株主総会で株主提案し、自分を退任に追い込んだ創業家の潮田洋一郎会長兼CEOに退任を迫るという全面対決の様相を呈している。
日産自動車もターゲットとなり得る。カルロス・ゴーン前会長の私的流用を見逃してきた西川廣人社長兼CEOの経営責任を問う声は強い。
ガバナンス(企業統治)の強化を錦の御旗に掲げる旧村上ファンド系ファンドにとって、LIXILや日産は“介入”する価値の高い企業ということになる。
(文=編集部)