1月30日、楽天の三木谷浩史社長が楽天新春カンファレンスの講演で、自社コンテンツである楽天市場の送料について、年内にも「全店舗の送料統一」と「一定額以上の買い物で送料を無料」を目指す考えを示した。
国内ECサイトの先駆けでありながら、ライバルの米企業・アマゾンに水をあけられて久しい楽天市場は、この“改革”で巻き返せるかがポイントとなっているが、実現に向けて三木谷氏は「最大にして最後の難題」と話す。
しかし、競合であるアマゾンは、プライム会員(月額500円または年額4900円)ならば通常配送料無料、プライム会員以外は2000円以上の購入で無料となっている。また、ファッション通販大手のZOZOTOWNは一律200円と送料を統一できているのだ。ではなぜ、楽天市場にとって送料の統一や一定額以上の買い物での送料無料化が“難題”なのか。
『ネット通販と当日配送』(白桃書房)や『トラック運送企業の生産性向上入門』(同)など多くの著書を持つ、物流ジャーナリストの森田富士夫氏に解説してもらおう。
ショッピングモール形式の楽天市場にとって難しい送料の統一
つまり、さまざまな店舗から集めた商品を1カ所の大型店舗で購入できるイメージのアマゾンやZOZOTOWNに対して、楽天市場はネット上の仮想ショッピングモールに各店舗が軒を連ねているイメージ。それゆえに楽天市場は送料だけでなく、購入ページのフォーマットも統一されておらず、ユーザーからは「わかりにくい」といった意見が以前から寄せられていたのだ。今回の改革はその意見を一部をくみ取ったかたちだが、果たして実現はできるのか。
「実現自体は可能だと思います。店舗ごとに商品特性、利益率は違うので送料無料ラインの調整は大変でしょうが、個別に配送するよりも楽天市場がまとめて商品を発送したほうがコストダウンになります。いくら以上で無料にするかという送料無料化のラインにもよるでしょうが、コストダウンならテナントにとって反対する必要性はないはずです」(同)