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KDDI、ライフネット生命にTOBか…旧村上ファンドが大量株取得

文=編集部

3人の創業者

 2008年5月18日、インターネットで保険を販売するライフネット生命保険が営業を開始した。営業担当者いらずのネット保険会社だ。戦後初の独立系の生保で、ネット専業生保としては同年4月のSBIアクサ生命保険(現・アクサダイレクト生命保険)に次いで2例目である。

 創業者の1人が出口治明氏。京都大学法学部を卒業、日本生命保険相互に入社。経営中枢の経営企画、運用企画を歩き、ロンドンの拠点のトップから国際業務部長に就任した。1996年、日生の長期ビジョンを策定(2020年まで)。その際、海外売上比率20%を目指す提案をした。当時の日生の海外の売上比率はほぼゼロ。だが、バブル崩壊による金融危機で銀行や証券の破綻が相次いだためグローバル化の計画は先送りとなり、出口氏は子会社に飛ばされた。

 だが、東京大学の小宮山宏総長(当時)のもとで働いている友人を訪ねたのが縁で、東大改革を進めていた東大にスカウトされ、2005年、非常勤の東大総長室アドバイザーに就いた。

 さらに出口氏は、あすかアセットマネジメント会長の谷家衞氏を紹介された。東京大学法学部を出て、ソロモン・ブラザーズなど外資系金融機関で活躍した後、投資家になった人物だ。「新しい生命保険会社をつくろう」と谷家氏から声をかけられた。

 その谷家氏が岩瀬大輔氏を引き合わせた。岩瀬氏は東京大学法学部卒業後、ボストンコンサルティンググループ、リップルウッドを経て、ハーバード・ビジネス・スクールに留学。帰国後、谷家・出口の両氏が新しい生命保険会社を立ち上げる計画に参画した。事業経験はまったくなく、30代になったばかりだった。

 3人は「日本初のインターネット生保を立ち上げよう」と意気投合したが、これは無謀な挑戦だった。ネット証券やネット銀行だとワンクリックで取引が成立する。ところが生保は息が長い商品。ネット生保が一般の顧客から信頼を得るのは大変なことなので、ネット専業の生保をつくろうという人はいなかった。

 2年の準備期間を経て2008年5月、ライフネット生命保険は営業を開始した。エンジェル投資家の谷家氏が発起人兼筆頭株主、出口氏が社長、岩瀬氏が副社長という布陣だった。

BusinessJournal編集部

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