最近の日本のノートパソコン(PC)市場は、コストダウンとCPUの処理速度アップ程度の変化だけで進み、やや面白みに欠けていたが、ある時期から、それは大きく変わった。それがインテルの戦略「2-in-1」だ。
モバイル市場は、以前はノートPCのみだったが、スマートフォン(スマホ)というデバイスが登場し、メールのチェック程度ならパソコンを持ち歩かなくてもいいような時代が来た。そこにさらにタブレットという、よりディスプレイサイズの大きな汎用性の高いデジタルデバイスが加わり、ノートPCの存在意義には大きな打撃だった。
ポケットに入る携帯性はあっても画面が小さいスマホは、PC市場をダイレクトに侵食することはなかったが、一般ユーザーのパソコン用途のかなりの部分がこなせるタブレットは、PC市場を大きく侵食し始めた。
そのような状況下、インテルはタッチ操作に対応したWindows 8に合わせたIvy Bridgeチップセットの登場とともに、「2-in-1」フォルム戦略を打ち出した。これは、半導体の進化によって、世代ごとに小型化する傾向にあるノートPCの液晶をタッチパネルにしてしまい、タブレットとしても使えるようにするという戦略だ。
●Windows 8がノートPCを変えた
そして、世界中のパソコンメーカーもIvy Bridge搭載のさまざまなフォルムの「2-in-1」パソコンを登場させた。当初、従来のノートPCの形状そのままのクラムシェル形で、タッチパネル液晶を搭載したモデルもあったが、「2-in-1」の可能性に挑む冒険的なモデルも多かった。
一見するとノートPCと同じ形状で、液晶が反対側まで回ってタブレットとして使えるモデル、液晶を横回転させるモデル、キーボードとディスプレイ部分が分離するモデルなど、さまざまなモデルが登場した。
さて、そんな第1世代のモデルの中で、ソニーのVAIO Duo 11は独自のフォルムを持っていた。ディスプレイがキーボードの上をスライドするという独自のフォルム“サーフスライド”によって、素早いフォルムチェンジを実現していたのだ。また、付属のデジタルペンによる入力が可能で、細かい図や書き込みが可能であるなど、ビジネス的な用途でも実用性が高かった。
●VAIO冬モデルの進化
このVAIO Duo 11は、さらにディスプレイサイズを拡大したVAIO Duo 13に進化して実用性を増し、今冬モデルではWiMAX通信機能を搭載し、モバイル性を増した。この新VAIOで、SONYは大きな決意を示したといっていい。以前は一部の機種だけに搭載していたタッチ液晶を、11インチから15インチまでのすべてのノートPCの新機種に拡大した。タッチ操作によってWindows 8が本来の操作感を得ることができるようになったのに加え、一部機種ではDuoで導入したペン操作が可能になった。
とはいえ、デジタルペン対応のすべての機種にデジタルペンが同梱されるわけではなく、Duo 13に加え、VAIO Tap 11にデジタルペンが同梱されるが、VAIO Fit Aシリーズでは、デジタルペンはオプションとなっている。