そして、ディスプレイは、フルHD解像度とトリルミナスディスプレイ、X-Reality for mobileによって高画質化した。これらによって、写真の表現力が大きく増したことになる。テレビメーカー、AVメーカーであるソニーならではのアドバンテージで、多くのパソコンメーカーのそれのようなカタログスペック的なものではなく、内容があるものだ。
また、ハード面だけでなくソフト面でも、同社のデジカメやビデオカメラに付属している画像管理ソフトPlayMemories Homeを付属させることで、写真管理の利便性をアップさせたのも特徴だ。
●タブレット並みのカメラを搭載
そして、今回のVAIOの特徴として、搭載しているカメラに、同社のデジカメにも使われる映像素子Exmor RのPC版Exmor R for PCを使用していることが挙げられる。特にVAIO Duo 13などは、フロントに約207万画素・リアに約799万画素と、スマホやタブレット並みの高い画質のカメラを搭載している。
このカメラ機能で名刺などを撮影すると、OCRソフトで変換して文字入力することができる。単に写真を撮影するだけでなく、ビジネス用途でも仕事を効率化してくれるというわけだ。また、CamScannerというプログラムでは、ノートやメモなどを撮影したときに、斜めに撮影しても角度をきっちり補正して正しいフォルムにしてくれる。
今冬モデルのVAIOの中では、VAIO Duo 13以外でも、Tap 11やFit 13Aなどがリアに約799万画素のカメラを搭載しており、さまざまな用途に活用できる。
●Duo 13のWindows 8.1搭載の意味とは?
さて、新VAIOの中でDuo 13だけは、初めからWindows 8.1を搭載する。これはDuo 13がConnected Stanby機能に対応しているためだ。この機能はスリープ状態にあってもバックグラウンドで定期的に通信を行う機能で、スリープしていてもメールをダウンロードするというようなことが可能だ。
●新VAIOのアドバンテージとは?
今冬モデルの新VAIOのうち、特にDuo 13はタブレットに近い使い勝手を持つ2-in-1として開発されているが、それ以外のノートPCも「2-in-1」が標準的になっている。しかも、その使い勝手は高い。
VAIOはもともと普通のノートPCよりも高いレンジのアッパークラスの存在だ。そのため、新しいフォルムを持つような製品を開発する場合でも一般的なノートPCよりも開発コストを使うことができ、低コストな製品よりも多くのアドバンテージを持つことになる。
低価格戦争の中では、割高であることはマイナス要因だったが、この変化の時代においては、割高でも一定の顧客がついているVAIOの特性はプラスに働く。また、カメラメーカーであるソニーは、PCにより高機能なカメラを組み込むという部分でも、PCメーカーよりアドバンテージがある。写真鑑賞などにおいても、表示クオリティの高いディスプレイは武器になる。
新世代のパソコンの「2-in-1」へのフォルムの変化、パソコンの用途の変化の中、VAIOに有利なファクターがあり、ソニーはそれを十分に生かした動きをしているといえるだろう。
(文=一条真人/フリーライター)