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セブン、日販がファミマを14万円も上回る理由…FC大量離脱→売上激減リスク浮上

取材・文=文月/A4studio、協力=信田洋二/Believe-UP代表取締役
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セブン-イレブンの店舗

 コンビニ業界はコロナ禍で打撃を受け、業績が落ち込んでいたが大手3社は2023年2月期の決算において業績を大きく回復させている。前期比の全店売上高を見てみると、セブン-イレブンは5兆1487億円と4.0%増、ファミリーマートは2兆9575億円と4.1%増、ローソンは2兆2995億円と4.0%増となっている。そんなコンビニ業界だが、1店舗の1日あたりの平均売上高である全店平均日販を見てみると、セブンが67万円、ファミマが53万4000円、ローソンが52万2000円となっており、セブンが他2社に対し14万円前後も差をつけているのだ。

 なぜ日販にこれほど数字に違いがあるのか。株式会社Believe-UP代表取締役である信田洋二氏に解説してもらう。

セブンは業界のプライスリーダーで、商品の価格設定が最も高い

 まず、コンビニの売上高が上昇傾向にある要因は何か。

「コロナ禍以降は外出の機会も減り、業界では客数減が大きな課題となっていましたが、来店1回あたりの買い上げ点数は増えていました。つまり、1日に訪れる回数は減少したものの、来店した際の1人あたりの購入金額はアップしたんです。そうした人々のライフスタイルの変化に加え、昨年夏ごろから続く物価高による商品の値上げでさらに客単価はアップ。またコロナ禍の影響が薄まり、客数が戻ってきたという事情もあるので、23年度は各社とも業績を伸ばすことができたのでしょう」(信田氏)

 商品の価格設定の方針は3社に違いがあり、日販にも影響が出ているという。

「セブンは業界のプライスリーダーで、価格設定が3社のなかで最も高い。そしてファミマは、基本的にセブンの動向に追随するかたちで価格設定を行い、セブンよりも内容量を増やすなどして差別化を図っています。しかし商品のクオリティに差があり、ファミマの日販はセブンに遠くおよびません。一方のローソンは若干価格を抑え、安さで2社が取り込めない客層のニーズを掴み、勝負している傾向にあります。ただ、そうなると客単価が低くなって、やはり日販はセブンに大きく差を付けられてしまうのです」(同)

 一例として定番商品である鮭おにぎりで比べてみると、セブンが189円(税込み、以下同)、ファミマが180円、ローソンが167円と信田氏の指摘どおりの傾向が見られた。

圧倒的な商品開発力のセブン、ファミマとローソンは模倣するだけ

 セブンの日販がほか2社に比べて高くなっている要因は、圧倒的な商品ブランド力にある。

「セブンは、業界内でも商品開発力がずば抜けて高く、消費者から満遍なく手に取ってもらえる商品の育成に心血を注いでいる企業です。セブンは値段が高い分、おにぎりから弁当、お菓子、スイーツなど商品のクオリティもコンビニのなかでは最高クラスでして、消費者にもそういったイメージが浸透しているでしょう。なかでも2000年からスタートした『札幌すみれ』『博多一風堂』といった全国各地の有名ラーメン屋とコラボしたカップ麺シリーズは、コンビニではセブンが先駆けて開始し、開発力とブランド力の高さを示しました。

 もちろん、集客力や出店エリアの問題もありますが、もともとの商品の強さがセブンは群を抜いて強い。ほか2社の商品に比べると、セブンの商品には『セブンにしかない』『セブンの商品はハズレがない』といったイメージがありますし、商品自体のPR力は高めでしょう。加えてセブンは、別の商品同士を一緒に購入したくなるようなラインナップにしているのも特徴。たとえば、パンとサラダ、個々にフォーカスを当てるだけでなく、それをセットで買ってもらうためにはどうしたらいいのかと戦略を考えているのです。極めて俯瞰的、多面的に商品戦略に取り組んでいます」(同)

 セブンの商品開発力に太刀打ちできないことが、ファミマとローソンの日販が伸び悩む原因なのか。

「ファミマは、2016年の『サークルK』『サンクス』とのブランド統合後、元セブン社員で商品本部長を務めた本多利範氏主導のもと、セブンの商品戦略を徹底的に模倣するという戦略を打ち出しました。商品の品質からラインナップまですべてセブン風に仕上げており、よく見たらコンセプトが似ている商品も多いですが、それでもまだ商品のクオリティを見るとセブンに真っ向から勝負できるレベルには達していません。そもそもセブン的な企業文化が定着していませんので、じわじわとセブンとの類似点が減っているような気もします。

 一方のローソンは、セブンの商品を表面的に模倣するイメージがあります。セブンで売れ筋の商品コンセプトを真似て、自社展開する、というやり方です。ただし、見た目や中身を模倣しているだけですので、元ネタとなったセブンの商品にはクオリティやコンセプト面で勝負できていません」(同)

 ファミマ、ローソンの課題は、セブンからシェアを奪い取れる商品が少ないことだという。

「ファミマは、質より量を重視した商品戦略をとっていますが、そのほかにセブンより勝る要素は数えられる程度。ちなみにサークルKやサンクスは、セブンでも手が出せない高コスパの商品を販売することもありましたが、ファミマとの統合後にはそういった個性が消され、完全に廃れてしまいました。ローソンも『プレミアムロールケーキ』『Lチキ』『からあげクン』といった商品は、消費者からの認知度もニーズも高めですが、そのほかの商品ではセブンを脅かすことは到底できていません」(同)

2030年以降、「FCオーナーが大量リタイア」の最悪シナリオとは

 コンビニ業界で頭一つ抜けている王者・セブン。だがそんなセブンにも不安材料はある。

「セブンに限った話ではなく、コンビニ業界全体の問題点になりますが、今の業績の水準をいつまで保ち続けられるかが今後の大きな課題となってくるでしょう。コンビニ業界は今でも人手不足に悩まされていますが、近い将来、もっと深刻になることが予想されています。現在、セブンは全国に約2万1420店舗ありますが、これだけの店舗を運営できるだけの人材を確保できたのには、2000年以降の不況の際、メーカー、商社を早期退職した人材が、続々とセブンのFCオーナーになったという事情があったからなのです。オーナーは15年更新での契約が基本となっておりまして、更新時期が来ればその都度契約を交わすことになります。当時40歳だったオーナーが2回更新すればもう70歳。つまり、2030年ごろから大量にリタイアするオーナーが出てくる可能性は非常に高い。

 オーナー側からすれば、自分たちの稼ぎさえ十分であれば問題ないので、後進のオーナーを育てる意味は薄い。したがって、このまま放置すれば閉店ラッシュが続く恐れもゼロではありません。店舗数が減少すれば、今まで取引していた工場やメーカーが不採算性を理由に撤退する可能性も出てきます。セブンの直営店約500店以外はすべてFCオーナーによる加盟店となっているため、FCオーナー引退・後継者問題にきちんと取り組まないと、企業全体の売上が極端に下がる可能性は十分にあり得ます」(同)

 FCオーナー引退・後継者問題はファミマ、ローソンも他人事ではない。現在は全国に約5.5万店もあるコンビニだが、激減していく未来もありえるだろう。

(取材・文=文月/A4studio、協力=信田洋二/Believe-UP代表取締役)

信田洋二/Believe-UP代表取締役

信田洋二/Believe-UP代表取締役

1995年、(株)セブン‐イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)ならびにディストリクト・マネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などのセブン‐イレブン店舗合計120店舗に対する経営指導を行う。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2009年退社。(株)Believe-UPを設立、コンサルタントとして独立。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、雑貨など小売業を対象に、店長、マネージャー、スーパーバイザー育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。
株式会社Believe-UP

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