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「アナ接待動員はフジテレビ特有の慣習」なのか…他局の問題の証言も

文=Business Journal編集部
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フジテレビの公式サイトより

 幹部社員が女子アナウンサーを接待や懇親会の席などに同席させていた疑いが浮上しているフジテレビジョン。影響は同業他社にもおよんでおり、日本テレビ、TBS、テレビ東京は社内調査を行うと発表。テレビ朝日は22日、すでに制作現場やアナウンス部を中心に調査を行ったとして、「その結果、食事会等での不適切な行為の報告はありませんでした」との報告を発表した。そんななか、人気声優の女性は過去に他局の番組に出演していた際の体験として、当時は未成年だったにもかかわらず深夜に収録が行われ、有名タレントのマネージャーに腕を捕まれて無理矢理連れて行かされそうになり大声をあげるというトラブルが起きたものの、隠ぺいされたとX上で報告。テレビ業界について「困った業界」と綴っているが、今回問題視されているフジの体質は業界共通のことなのか。あるキー局社員は「フジ特有の慣習であり、基本的には他局ではないのではないか」という。

 フジテレビの番組にレギュラー出演していた中居正広さんと女性との間でトラブルが起きた会合に、同局の幹部社員が関与していた疑いが持たれている問題。港浩一社長ら経営陣は17日、記者会見を実施したが、出席するメディアを記者クラブに加盟する社に限定し、会見の模様の映像の撮影を禁止。さらに、立ち上げる調査委員会を日弁連の定義に基づく第三者委員会の形態にはしないと説明したことを受けて批判が拡大。スポンサー企業が相次いでCM放送の見合わせを決定し、その数は70社以上に上っている。

「港社長と嘉納修治会長は23日の社員説明会で、17日の会見を撮影禁止とした理由について、当事者女性のプライバシーが侵害される恐れがあったためだと説明した。また、正式な第三者委員会の設置を名言しなかった理由については、取締役会決議を経ていなかったためだと説明していたが、確かにそういうやむを得ない事情があったことは理解できないこともないが、やはり一連の対応は企業としてはお粗末。曲がりなりにもテレビ局の幹部であれば、自分たちの振る舞いがどのように世間から受け取られるのか、メディアによってどのように報道されるのかという点にあまりに理解がない。当事者女性のプライバシーを守るという観点から、不測の事態に備えて生放送は禁止した上で、予めルールを設定してテレビカメラの撮影を許すオープンなかたちでやるべきだった」(キー局社員)

 フジテレビの2024年4~9月期の放送収入は、番組内のCM放送枠の「タイム」が368億円、それ以外の「スポット」が343億円で計約712億円。フジテレビは放送見合わせ分の広告料金について返還する方針と伝えられており、仮に2~3月の放送収入がなくなれば約240億円の減収要因となる。

「4~6月期、さらには7~9月期の放送広告契約も厳しくなるのは間違いなく、半年で700億円規模の放送収入を失うかもしれない」(広告代理店社員)

 持ち株会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)は23日の臨時取締役会で、日弁連のガイドラインに従った第三者委員会の設置を決議。27日には改めてオープンなかたちで会見を行う予定であり、同日にはフジテレビは臨時取締役会を開催して港社長の進退を含めて議論するとみられている。27日の会見は港社長以外の出席メンバーを前回から入れ替えるが、長年にわたりフジ・メディアHDの会長・社長として強い経営実権を握ってきた日枝久相談役が出席しないことにも批判が集まっている。

フジテレビのガバナンスが歪んだ原因

 フジの問題を受けて他の民放キー局も社内調査を行うと発表しているが、そんななか、前述のとおり他局で過去に不適切なことが行われていたという証言も出ている。フジテレビで問題視されているような、幹部役員などがアナウンサーなどを接待の場に同席させるといった行為は、他局でも行われていることなのか。

「世間では『どの局でも似たようなことが行われているのでないか』という見方もありますが、これに限っていえばフジテレビ特有といっていい。まず、フジではアナウンサーの扱いが他局と大きく異なり、やや特殊。フジは1990年代頃からアイドルアナウンサーというコンセプトを仕掛けて、自社のアナウンサーをアイドルグループとして売り出したり、入社間もないアナウンサーに『アヤパン』『チノパン』といった冠番組を持たせたりし、自社のタレントのように扱う路線を敷いてきた。これが成功し、そうした人気アナは営業サイドではスポンサー企業との接待の場に、制作サイドではタレントやプロダクションとの接待の場に同席させられてきた。要は接待要員として駆り出していた。このようなことは例外はあるものの他局では基本的にはない。特にTBSはアナウンサーの主戦場は報道というスタンスが強く、考えられないことです。

 フジテレビのガバナンスが歪んだ原因は大きくは4つで、一つは2005年にライブドアに仕掛けられた買収騒動で、過度に外部からの干渉を嫌って内輪で凝り固まる風潮が強まったこと。2つ目は2年前の希望退職者募集で多くの優秀な社員が会社を去ったこと。3つ目は人材採用において政治家やスポンサー企業幹部、タレントなどの子息の縁故採用が多いこと。4つ目は、有力タレントと仲が良いという理由で出世する社員も少なくないという点だ」(キー局社員)

 別のキー局社員はいう。

「時代遅れの慣習を続けるフジでは、いつか大きな問題が起きるといわれてきたが、それが今まさに起きているということ。ただ、幹部社員に限らずプロデューサーをはじめとするキー局番組スタッフというのは、キャスティングなどさまざま面を通じて外部のステークホルダーに対して強い権限を持ち得る立場ともいえ、今回のような問題はどの局でも起きる可能性はある。業界全体が改めてモラルを高めてコンプラを意識すべきだろう」

(文=Business Journal編集部)

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