厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの日本の地域別将来推計人口を公表した。50年には65歳以上の高齢者が人口に占める割合が25道県で40%を超え、最も高い秋田ではほぼ半数に達する。東京を除く46道府県で20年に比べて人口がマイナスになる見通しで、東京一極集中が加速する傾向が浮かび上がった。
推計は20年の国勢調査に基づき、50年までの30年間の人口の変化を5年刻みで都道府県、市区町村別に試算した。
50年時点の全国の総人口は20年比17.0%減の1億468万6000人。外国人の増加を受けて18年の前回推計よりも減少率は緩和されるものの、都道府県別では20年以降、東京を除く46道府県で減少が続き、40年以降は東京でも減少に転じる。11県で人口が20年比で30%以上減少する。減少率が最も高いのは秋田の41.6%で、青森(39.0%)、岩手(35.3%)と続いた。
50年に65歳以上人口の割合が40%を超えるのは、秋田(49.9%)をはじめ25道県で、最も低い東京でも29.6%と約3割に達する。75歳以上人口も50年には東京を除く46道府県で2割を超える。
全国の総人口に占める東京の割合は20年は11.1%だったが、50年には13.8%に拡大。神奈川などの割合も増え、首都圏に人口がさらに集中すると予測した。
市区町村別では、50年の人口が20年の半分以下に減る自治体が約2割に上り、減少率は群馬県南牧村が74.8%で最も高く、次いで熊本県球磨村(73.3%)、奈良県野迫川村(72.5%)だった。65歳以上が人口の半数以上を占める自治体は3割を超える見通し。
◇2050年の将来推計人口
20年比増減率 65歳以上人口の割合
(%) 20年 50年
全 国 ▲17.0 28.6 37.1
北海道 ▲26.9 32.1 42.6
青 森 ▲39.0 33.7 48.4
岩 手 ▲35.3 33.6 45.9
宮 城 ▲20.5 28.1 39.4
秋 田 ▲41.6 37.5 49.9
山 形 ▲33.4 33.8 44.3
福 島 ▲32.0 31.7 44.2
茨 城 ▲21.7 29.7 40.0
栃 木 ▲22.3 29.1 39.6
群 馬 ▲21.6 30.2 40.0
埼 玉 ▲ 9.7 27.0 35.5
千 葉 ▲ 9.5 27.6 35.5
東 京 2.5 22.7 29.6
神奈川 ▲ 7.7 25.6 35.0
新 潟 ▲30.7 32.8 43.2
富 山 ▲26.4 32.6 41.4
石 川 ▲20.8 29.8 38.3
福 井 ▲25.3 30.6 40.3
山 梨 ▲24.5 30.8 41.7
長 野 ▲22.8 32.0 41.6
岐 阜 ▲25.8 30.4 40.6
静 岡 ▲22.1 30.1 39.6
愛 知 ▲11.5 25.3 34.5
三 重 ▲23.9 29.9 39.6
滋 賀 ▲13.5 26.3 36.7
京 都 ▲19.5 29.3 38.5
大 阪 ▲17.8 27.6 36.6
兵 庫 ▲20.3 29.3 39.5
奈 良 ▲28.2 31.7 43.3
和歌山 ▲31.5 33.4 43.7
鳥 取 ▲26.7 32.3 40.9
島 根 ▲25.9 34.2 39.7
岡 山 ▲20.0 30.3 37.8
広 島 ▲20.4 29.4 37.4
山 口 ▲31.0 34.6 42.3
徳 島 ▲33.2 34.2 44.8
香 川 ▲23.8 31.8 39.7
愛 媛 ▲29.2 33.2 43.0
高 知 ▲34.8 35.5 45.6
福 岡 ▲12.8 27.9 35.1
佐 賀 ▲23.5 30.6 39.3
長 崎 ▲33.8 33.0 43.4
熊 本 ▲22.0 31.4 38.8
大 分 ▲25.1 33.3 40.5
宮 崎 ▲25.5 32.6 40.8
鹿児島 ▲26.3 32.5 41.2
沖 縄 ▲ 5.2 22.6 33.6
◇2050年の市区町村人口
【20年比の人口減が大きい自治体】
(1)群馬県南牧村 ▲74.8%
(2)熊本県球磨村 ▲73.3%
(3)奈良県野迫川村 ▲72.5%
(4)北海道歌志内市 ▲72.0%
(5)奈良県御杖村 ▲71.5%
【20年比の人口増が大きい自治体】
(1)東京都中央区 24.7%
(2)千葉県流山市 20.9%
(3)東京都港区 20.0%
(4)東京都千代田区 19.7%
(5)沖縄県中城村 17.8%
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/12/22-14:50)