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アマゾン倉庫の自販機に監視カメラ、撮影が発覚…1秒単位で社員の行動管理

文=Business Journal編集部
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アマゾンの物流施設(「Wikipedia」より/Jérémy-Günther-Heinz Jähnick

 大手ECサイト運営会社アマゾン・ドット・コムの物流倉庫の休憩室に設置された自動販売機に監視カメラが内蔵されており、社員の様子を撮影していたことが問題となっている。米国メディア「Sahan Journal」の報道によれば、米国ミネソタ州の倉庫で発覚し、アマゾン側はカメラの誤作動によるものだと説明しているものの、現地の労働団体などが問題視している。アマゾンといえば今年1月、業績監視のために過度な監視システムを導入するなど一般データ保護規則(GDPR)違反があるとして、フランスの情報保護当(CNIL)から罰金3200万ユーロ(約51億5000万円)を課せられるなど、従業員監視が厳しいことでも知られているが、改めてアマゾンの企業体質がクローズアップされている。

 アマゾン倉庫では従業員によるスキャナーの利用履歴をデータとして保管・分析し、従業員の評価や教育、業務効率の向上などに活用している。CNILは、データ保管期間が1カ月もの長期になっている点についてGDPRに違反していると判断。また、

・スキャンの間隔が1.25秒以下になるとエラーが表示される
・10分間スキャンしないと、動作していないとみなされる
・1~10分間のスキャン中断は「遅延」とみなされる

という措置についてもGDPRに違反していると判断した。このほか、2020年4月までは期間従業員はスキャナーを通じてデータを収集されている旨を通知されていなかった点や、従業員が職場内に監視カメラが設置されている旨を知らされていない点、監視カメラの保管データのセキュリティー管理が不十分でありデータへのアクセス権限が複数の人々の間で使い回されている点もGDPR違反だとした。

過酷なノルマ

 アマゾン倉庫での従業員監視の厳しさは以前から指摘されてきた。たとえば当サイトは23年12月11日付記事で次のように伝えていた。

「アマゾンの倉庫の場合、労働環境は決して楽とはいえないでしょう。倉庫の棚入れ業務では8秒に1つ、1時間で合計400個の商品を箱に詰めなければならないなどの過酷なノルマを課され、達成度は秒単位で手元のデバイスに記録されます。トイレ休憩にどのくらいの時間かかっているかなども記録され、労働者は自分のペースと関係なく非常に緊張感のある環境下で働くことを余儀なくされています。

 労働組合に入り団体交渉をしているアルバイト経験者の話によると、毎日昼の休憩後に午前中の自分のノルマ達成度合いが書かれた紙を持ってこられ、ノルマに達していない日が続くと改善を要求されるそうです。あまりにもノルマ未達成が続くとトレーナーがずっと横につき、動作について逐一指摘されるという『トレーニング期間』が開始されるといいます。

 また、かなりの重労働のため、腰痛などを患う懸念に常にさらされているともいえます。ほかにも、アマゾンには倉庫に入荷してきた箱詰めの商品を倉庫内に搬入する作業や、バンに積むために搬出する作業がありますが、これは半屋外で行われます。その部署に配属されると空調が十分に効かない場所で作業することになるので、夏は熱中症のリスクが高いでしょう」(NPO法人POSSE代表で雇用・労働政策研究者の今野晴貴氏)

効率化を進めた物流システムが強さの源泉

 ワーカーの管理の厳しさという面では、配達員も同様だ。アマゾンの荷物を個人事業主が配達する仕組み「Amazon Flex(アマゾン・フレックス)」をめぐっては今年1月、アマゾンジャパンと業務委託契約を結ぶ男性ドライバーが労働組合を結成し、同社に団体交渉を申し入れるという事案が発生。男性は会見で「1時間に20個以上の荷物を配送しないといけないオファーが多い」「休憩を取る時間がなく、トイレを我慢したり、信号待ちの間におにぎりを食べて食事を済ますこともある」などと過酷な労働実態を告白。報酬は1時間あたり約1600円であり、配達用車両の購入費や燃料費、各種保険料などはドライバーの自己負担。配達する荷物量や報酬、ドライバーに対する評価はアマゾンによるアルゴリズムで決められ、評価が低いとアプリのアカウントが停止され事実上の解雇となってしまうという。ちなみに配達員は労災保険もかけられていない。

 EC関連企業幹部はいう。

「アマゾンの強さの源泉は、圧倒的な集客力を誇るECサイトと洗練されたユーザビリティー、そして極限まで効率化を進めて進化させた物流システムにある。それを実現するにはヒューマンエラーやヒトの能力不足による効率低下の要因を徹底的に排除する必要があり、従事するワーカーは完全に巨大なシステムの一部に組み込まれることになる。その結果、従業員は厳密に管理・監視される」

 そうした効率最優先の思想は本部社員の人事制度にも表れている。社内には、同僚との業績比較や将来発揮することが期待される潜在能力などの観点から従業員を評価するための評価プロセスを記したガイドが存在し、「フォルテ(Forte)」と呼ばれる従業員評価が年1回実施され、そこで給与が決まるという。また、各部門のマネジャーには「悔やまれない退職率」の割り当てや、各業績等級に一定割合の従業員をランク付けすることなどが課されているという。

解雇も効率化

 無駄の発生が悪とみなされるアマゾンでは、余剰人員の整理も容赦なく行う。米アマゾン・ドット・コムはコロナ禍による巣ごもり需要の高まりを受けて人員を拡充していたが、増大した人件費の圧縮のため人員削減にシフト。昨年1月までに約1万8000人、3月に約9000人を解雇し、11月にはゲーム部門「Amazon Games」で約180人を解雇。今年1月には「Prime Video」と映画・配信番組の製作スタジオで数百人、「Twitch」で500人強を削減するのに加え、2月には薬局部門「Amazon Pharmacy」とヘルスケア部門「One Medical」で数百人を解雇した。

 そうした企業体質のひずみが生じることもある。21年、アマゾンジャパンに勤務していた男性が不当解雇されたとして社員としての地位確認などを求めて同社を提訴。男性によれば、同社は男性に業務に必要なシステムの使用や会議への出席を禁止し、退職勧奨を行った上で、勤務成績が改善しなかったという理由で解雇したという。また、22年10月14日付「FRIDAY DIGITAL」記事によれば、同社に勤務していた男性は課題達成の基準が不明確なコーチングプランに参加させられ、業務改善の名目で圧迫面接や退職勧奨を受け、上司によるパワハラの疑いを人事に相談したところ、その相談内容が上司に筒抜けになっていたという。また、社内ではPIP(Performance Improvement Plan)と呼ばれる個人の業績改善計画が存在し、ノルマを達成しなければ退職を迫られ、退職を拒否すれば降格され、実際に多くのアマゾン社員がPIPによって退職しているという。この男性は「FRIDAY」の取材に対し、ストレスから頭痛や吐き気に見舞われ、病院で適応障害と診断され精神安定剤を服用しながらPIPを続け、何度も退職勧奨を受けていたと語っている。

「アマゾンに限らず多くの米国企業では解雇についても効率的に行えるようにマニュアル化されている。いつもどおり朝出勤して業務を行い、外出してオフィスに戻り入口ゲートに入館証をかざすとエラーになり、確認してみると数分前に解雇通知のメールが送られていて、オフィスに立ち入りが許されず社内システムにも一切ログインできなくなるということが普通に行われている。もっとも、米国では突然の解雇が生じることが前提で労働市場も流動化しているので、そのときの経済状況にもよるが、すぐに転職しやすい環境があるのも事実。解雇の意思を示す社員をあの手この手で引き留めて妨害したり、逆にリストラ部屋や仕事を干すといった回りくどい手段を使って退職に追い込むこともある日本企業に比べれば、米国企業のほうが無駄な労力が生じなくてよいという考えもあるかもしれない」(外資系企業社員)

(文=Business Journal編集部)

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