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一人負けの資生堂、“異例”社長人事の勝算~ブランドイメージ刷新と国内販売回復なるか

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一人負けの資生堂、“異例”社長人事の勝算~ブランドイメージ刷新と国内販売回復なるかの画像1資生堂本社が所在する汐留タワー
「Wikipedia」より/Kakidai)
 資生堂が大胆なトップ人事に踏み切った。昨年12月24日、同社は前田新造会長兼社長の社長兼務を解き、4月1日付で元日本コカ・コーラ会長の魚谷雅彦マーケティング統括顧問が社長に就くと発表した。6月下旬の定時株主総会を経て、正式に社長に就任する。前田氏は会長専任になるが、株主総会後に相談役に退く。

 140年超の歴史を持つ資生堂で、役員経験のない外部の人間が社長に就任するのは初めてのことだ。社外からの社長登用について前田氏は24日の記者会見で、「社内にも社長を任せられる人材は育っている」としながらも、「今後、成長のためにマーケティングをしっかりやっていくことが大事との認識から、マーケティングを専門とする魚谷に決めた」と語った。その魚谷氏は会見で「マーケティングが中心になって経営が回る会社であるべきだ」と宣言した。

 前田氏は2011年から会長を務めていたが、昨年4月、健康上の理由で退いた末川久幸前社長の後を受けて社長に復帰した。あくまでショートリリーフで、後任社長に誰を据えるかが最大の仕事となっていた。

 社内で挙がっていた有力候補は、国内の化粧品事業を担当する坂井透取締役執行役員常務と海外事業を担当する岡澤雄取締役執行役員常務の2人。いずれも生え抜きだ。

 一方、魚谷氏は昨年4月にマーケティング統括顧問として資生堂に迎えられたばかりであったため、この仰天人事に同社内では驚きの声が上がった。後任社長の選定が本格化した昨秋、前田氏は魚谷氏を社外取締役らで構成する「役員指名諮問委員会」に後継候補として推薦したが、委員の中には否定的意見があった。

 だが、複数の候補にプレゼンテーションをさせる中で、「魚谷は成長に向けたマーケティング戦略や熱意が明らかに(他の候補と)違った」(前田氏)という。低迷を続ける自社ブランドの化粧品を再生させるためにもマーケティングを重視すべきだとする前田氏の主張が通り、最終的には委員会が全会一致で魚谷氏を社長に指名することを決めた。

●国内販売回復をマーケティングのプロに託す

 前田氏がマーケティングのプロである魚谷氏に資生堂再生を託したのは、同社の危機がそれほど深刻だったからでもある。

 資生堂は百貨店の化粧品売り場と全国に張り巡らした専門店を営業の2本柱にして、化粧品のトップブランドの地位不動の時期が長かった。しかし1997年4月の化粧品再販制度の撤廃が、資生堂の経営を低迷に導いた。価格決定権がメーカーから小売業者に移り、販売チャネルは大きく変化した。DHCなど通販化粧品が台頭し、若い消費者に支持されているドラッグストアでは、花王やロート製薬など異業種からの参入組にシェアを奪われ、資生堂は一人負けの状態に陥った。

 13年9月期の売上高は前年同期比8.1%増の3605億円、営業利益は同2.4倍の203億円、純利益は同7.1%増の53億円だった。結果的に増収増益をもたらしたのは、為替の影響である。海外の売上高は現地通貨ベースでは0.5%増と横ばいだったが、為替レートが円安で推移した結果、同21.5%増の1786億円となった。一方、国内の売上高は同2.5%減の1819億円と減収に歯止めがかからなかった。

 14年3月期通期(見通し)の売上高は同9.2%増の7400億円。海外売上高が同22.5%増の3730億円と予想されているのに対して、国内は同1.7%減の3670億円の見込み。資生堂としては初めて、海外売上高が国内を上回ることになる。国内販売を回復させるには、同社商品群の「中高年向けブランド」というイメージを刷新しなければならない。そこで、前田氏はマーケティングのプロである魚谷氏の力を借りることを決断した。

BusinessJournal編集部

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