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ファストリ、空前の好業績の理由…止まらないユニクロ事業の拡大、国内売上1兆円が視野に

2025.07.12 2025.07.11 16:31 企業
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ユニクロ

●この記事のポイント
・ファストリの2024年9月~25年5月期連結決算、純利益は前年同期比8%増で最高益
・日本、欧州、北米、東南アジア・インド・豪州地区、韓国のユニクロ事業が好調
・気温に左右されにくいビジネスを展開でき、期を通して通年商品の販売が好調

 ファーストリテイリングは10日、2024年9月~25年5月期連結決算を発表。純利益は前年同期比8%増の3390億円と同期間としては最高益となった。25年8月期通期の業績予想は売上収益(売上高に相当)が前期比10%増の3兆4000億円、純利益は同10%増の4100億円で据え置かれ、過去最高の業績になる見込み。日本、欧州、北米、東南アジア・インド・豪州地区、韓国のユニクロ事業が好調であり、通年商品の在庫を十分にもつことで気温に左右されにくいビジネスを展開でき、期を通して通年商品の販売が好調。店舗販売員の時給アップや正社員の報酬引き上げにより人件費は増加したものの、店舗オペレーションの効率化による生産性向上でそれを吸収している点が注目される。ファストリ好調の理由について、識者への取材を交えて追ってみたい。

●目次

国内ユニクロ事業の売上が1兆円の大台に

 今回発表された業績で注目すべき点について、アパレル業界でトレンドリサーチやコンサル事業などを手がけるココベイ社長の磯部孝氏はいう。

「7~8月に失速せずにこのままでいくと、国内ユニクロ事業の売上が1兆円の大台に乗るほどの勢いです。日本のアパレル市場は年間8~9兆円といわれており、そのうちの1兆円を一つのチェーンが占めるという状況になります」

 ファストリの業績拡大の要因は何か。

「私が観察している限り、東京都心の大型店、例えば銀座や有楽町などの旗艦店には連日、ものすごい数のインバウンドが押し寄せており、それが売上を押し上げている面もあるでしょう。また、感謝祭やゴールデンウィーク商戦などの大型商戦が非常に盛況でして、ファストリが打ち出す施策が今のところ当たっているという印象があります。このほか、海外ブランドのANYA HINDMARCHとのコラボレーションをはじめ、さまざまな仕掛けがファストリの読み通り、もしくは読み以上に成功しているという印象を受けます」(磯部氏)

懸念はグレーターチャイナ

 逆に懸念材料はあるのか。

「米国トランプ政権の高関税政策の影響が指摘されていますが、北米市場はファストリが非常に重要視している市場とはいえ、ユニクロの店舗数は74店(25年6月30日現在)であり、全世界の約2500店舗のうちの数%にすぎないため、全体でみれば影響はほぼないといっていいでしょう。一方、海外ユニクロ事業の柱であるグレーターチャイナが減収減益となっている点は、やや心配の種かもしれません」(磯部氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント)

磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント

磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント

ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。 2003年ココベイにて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。 2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。2020年ココベイの代表取締役社長に就任。
ココベイ株式会社のHP