このため事業継続を断念して、身売りするホールが増えてきた。ダイナムジャパンHDは上場によって調達する200億円を、M&A(合併・買収)に活用する。パチンコチェーンのM&Aは、これまでは現金による買収しか方法がなかったが、ダイナムは今後、上場した株式を使えるようになる。
上場すれば、社会的地位を向上させる早道となる。準大手のパチンコ店チェーンから上場申請を受けたジャスダック取引所は06年4月、上場を認めないことを決めた。マルハンも上場を目指し東京証券取引所と協議したことがあるが、上場への壁は厚かった。
ジャスダックは「3店方式」という呼ばれる業界独自の換金方式を問題視した。賭博になるからホールは客に直接、現金を出せない。代わりに出すのが特殊な景品である。客はこの景品を店外に設置されている換金窓口に持っていく。ホール直属の窓口はその景品を現金で買い取る。換金窓口になっている会社は問屋を通して特殊な景品をホールに戻す。
ホール、換金窓口、問屋というルートをたどることで、本来は禁じられているはずの現金が客に渡る。こうした換金方法は法的にはグレーゾーンだ。ジャスダックは投資家の保護を果せないと判断して、上場を認めなかった。
このため、業界は政界工作を強めた。08年には民主党に「新時代娯楽産業健全育成プロジェクトチーム」が発足した。発足時の座長は古賀一成議員。パチンコ店内での換金の合法化やパチンコホールを経営する企業の株式の上場を実現させることを目的とした。
パチンコホールは脱税のワースト業種である。ホールのオーナーの8割が北鮮系か韓国系、わずか2割が台湾系か日本人といわれる。北朝鮮系の店の経営者は「日本の政府に税金を払うくらいなら、北にくれてやった方がマシ」と言ってはばからなかった。パチンコの脱税マネーが北朝鮮に渡っていることは、今や日本人の常識だ。
12年初頭、パチンコチェーンを全国展開する40の企業グループが、東京国税局などの一斉調査を受け、総額1000億円の申告漏れを指摘されたことがある。
パチンコ業界3位のガイア(本社・東京都中央区)とグループ企業計20社は、東京国税局の税務調査を受け、従業員の給料の水増しなど経費を過大計上して数年間で計40億円の所得隠しを指摘された。重加算税を含め追徴課税は10億円に上るとみられている。経理の不透明さがパチンコホール業界の闇を深くしている。