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復調の吉野家、低迷脱出見えないマック、何が明暗分けた?チグハグ戦略で店舗力低下

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マクドナルド復活のカギとは?

 そんなマクドナルドが短期的に復活する道は2つある。ひとつは店頭でのスマイルの復活だ。マクドナルドの特徴のひとつであった店員のスマイルを復活させることで、社内意識をもう一度変えていくことから始める。お客からしても、すましたカフェ店員風よりも元気なスマイル店員のほうが嬉しいはずだ。特にファミリー層をもう一度取り込もうとか、宅配事業で高齢者を取り込もうとするのであればなおさらだ。マクドナルドが短期的に復活するには、まずスマイルが必要なのだ。

 もうひとつの要素は、吉野家の復活にこそヒントがある。

 その秘密はプチ贅沢志向だ。アベノミクスにより日本の景気が向上したといわれるが、多くの人はまだ本格的に景気回復の実感を得られていない。多少ボーナスは増えたが、そこまで贅沢できる気分になれない。だからこそ株や不動産で稼いだ人がデパートで高額商品を買い、高級レストランで食事をする一方、そうではない多くの人は、たまには日常よりも少し贅沢な食事をしようと考える傾向が強い。高級店で食事をするのではなく、普通の店で高級なメニューを楽しむ。そのことで、味だけでなく精神的な満足を得られる、プチ贅沢が流行っているのだ。

 吉野家で300円前後で食べられる牛丼の倍近い値段の「牛すき鍋膳」を食べるプチ贅沢。普通のハンバーグに、高級食材であるフォアグラを乗せることで一気に豪華感が増すデニーズのフォアグラ乗せハンバーグ、立ち食いながら、高級食材を使った本格的なイタリアン・フレンチ・和食を食べることができる「俺のフレンチ」シリーズ。“わかりやすい”贅沢のアイコンがあることで、プチ贅沢が堪能できるのだ。

 ちなみに“わかりやすさ”がアイコンに必要な理由は、ソーシャルメディアとの関係にある。自分の食生活や日常についてTwitterやFacebook、ブログで発信する人は少なくない。筆者は仕事で海外に行く機会も少なくないが、日本人ほど食事でパシャパシャ撮影する国民を見たことがない。つまり“わかりやすい”贅沢アイコンのほうが、ソーシャルメディアにアップさせた時に見栄えがよくなるのだ。だからこそ味もさることながら、贅沢をするという心の満足をソーシャルメディアで誰かに伝えられるアイコンは有効なのだ。

 マクドナルドはここ数カ月数多くのメニューを投入しているが、それらのほぼ全部がこうしたアイコンにならないものだ。例えば、以前話題づくりを狙い発売されたアンガスバーガーやトリュフ入りソースのバーガーは、お客にサプライズと喜びを与え誰かに伝えたい気持ちにさせるには至らないものばかりだ。もっと料理的にも視覚的にもわかりやすいものであれば、ソーシャルメディア上での拡散力も大きく変わってくるはずだ。業績回復に向けた取り組みとしては、経営やマーケティング戦略にも大きなポイントが潜んでいるが、まず手のつけられる身近なところにも改善のヒントは隠されている。マクドナルドにとって、それがプチ贅沢というアイコンなのではないか。
(文=新井庸志/株式会社ホワイトナイト代表、マーケティングコンサルタント)

BusinessJournal編集部

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