家電量販店にとって脅威となっているのがネット通販だ。米国ではアマゾン・ドット・コムが仕掛けた値引きで、家電量販2位のサーキット・シティが経営破綻した。アマゾンの日本での売り上げは非公開だが、6000~6500億円と推定されている。扱うのは家電だけではないがネット通販が最大のライバルになってきたことは間違いない。
ヤマダは10年11月、モール型通販サイト「ヤマダモール」を開設した。主力の家電のほか、家具や衣料品、食品など計120万品目をそろえた。カード会員の数の力を生かせば、楽天などからシェアを奪えると踏んだが読みは甘かった。売上高1000億円を目標においたが、まだ300億円強。モールへ出店する企業の数も増えなかった。
家電通販で急成長してきたのが、テレビショッピングのジャパネットたかた(長崎県佐世保市)。高田明社長自身が、甲高い声と独特の言葉遣いで家電商品を売り込むスタイルで、知名度は、一挙に全国区になった。だが、11年12月期の売上高は前期比13%減の1531億円。ほかの量販店と同様、地上デジタル放送への完全移行後の薄型テレビの需要の落ち込みが響いた。
しかし、高田社長は強気だ。福岡市のコールセンターではオペレーターが1日最大3万件もの問い合わせを受け付けるという。勢いに乗り今年の夏には東京に事業拠点を設けると鼻息は荒い。数年後には、ベストの単体売り上げを抜くのは確実とみられている。
「急成長しているテレビ通販会社を買収するなら意味があるが、ドカ貧のベストを買収しても、赤字を抱えこむだけでメリットはない。使える店は1割もないのではないか。これではシェア拡大につながらない。売上高2兆円に戻すために、やみくもに買収したようにしか見えない」(ライバルの家電量販業界の首脳)
業界4位のケーズホールディングス(水戸市)の加藤修一・会長兼CEO(最高経営責任者)は「10年後には郊外型が3社、都市型が2社の合計5社ぐらいに集約されるだろう」と語っている。都市型は経営効率が良いヨドバシカメラが有利で、あとはビックカメラ。郊外型がヤマダ、ケーズHDということか。業界3位のエディオンも郊外型だが苦しい。
ヤマダ電機の山田会長の「3~4社」説に従えば、都市型はヨドバシカメラ、郊外型はヤマダとケーズHDが当確。都市型のビックは当落線上ということになる。