JRの“神対応”冴えわたる?駅改札前の物産展、JRの取り分や出店基準を質問すると…
担当者 左様でございますか。まずこの3つを具体的に教えていただいてから確認をさせていただきたいのですね。場所、どのような販売の品目、あと時期ですね。
–そうですか。ということは、個人の場合でも条件が揃えば場所を借りることができるんですか?
担当者 いえ、まだそのご返事は難しいですね。現状、個人さまでの参加は難しいかもしれません。
–前例があまりないのでしょうか?
担当者 そうですね……、私どもで判断することではございませんので、ご案内は致しかねるのですが、現状では少し難しいとは思います。まずこの場所・日時・品目の3点をご確認させていただいて、こちらでお預かりさせていただければと思います。
–可能性はゼロではないということですか?
担当者 難しいことだとは思いますけれども、ということですね。
–そうですか。ちなみに先日、八王子駅で山梨フェアをやっていましたが、あのパターンは、自治体の観光課が出店されているんですか?
担当者 今、資料がないので、こちらで確認できないのですが、おそらくさまざまな形態があるかもしれないですね。
–では、企業の場合もあるのですね。
担当者 あるかもしれないですね。
–そうですか。ちなみに、売上金の何%をJRさんにお支払いするかたちなのでしょうか?
担当者 えーっと、大変恐縮なのですが、今、こちらの部署でそうした話はできません。まず出店ができるかどうかということも踏まえまして、先ほどの3点をお教えいただきたいと思います。
–わかりました。詳細を決め次第、またご連絡いたします。
完全敗北である。希望の駅、希望日時、販売品目。この3点ラッシュで押されてしまい、ボクシング的には1ラウンドKO負けだ。こちらの知りたい情報は完全にシャットアウトされてしまった。JR恐るべしである。
もちろん、JRはコンコースのスペース貸しがメインの商売ではないので、「お預かりして判断する」という対応は当然である。そこにJRの余裕を感じた。逆に国鉄の名残を感じた。ふさわしくない品目であれば「許可を出さない」。ただそれだけのことであろう。いろんな意味で完敗である、とJRに乗りながら思うのであった。
(文=酒平民 林賢一/放送作家・脚本家)