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インドでは経済発展とともに「左派離れ」が進んだ。危機感を強めた左派勢力がターゲットにしたのが、インドで自動車最大手のマルチ・スズキだった。共産党系の全国労組は、戦闘的な活動家をオルグ要因としてマネサール工場に送り込んだ。彼らは「騒動を起こしてナンボ」の扇動のプロたちである。騒動を起こせば存在感を示すことができるのだから、今回の暴動が沈静化しても、いつなんどき、火の手が上がるか予断を許さない状況が、今後も続く。インド内務省は極左武装組織「共産党毛沢東主義派」の関与について調査を開始した。
スズキは、日本の自動車メーカーで先陣を切ってインドに進出したパイオニア。同国政府と組み、83年に現地生産を始めた。インドの生産子会社、マルチ・スズキ(前身はインド政府との合弁会社、マルチ・ウドヨグ社)は、インドの乗用車生産の4割近く占める最大手。グルガオン工場とマネサール工場があり、年間生産能力はそれぞれ90万台と65万台。さらに、2016年3月期には西部グジャラート州に新工場を稼動させて生産能力を200万台にまで拡大する計画だ。
スズキのインドでの生産台数(2012年3月期)は113万台で、日本国内の102万台を上回った。世界での生産台数280万台の4割をインドが占める。インドから、軽自動車アルトと人気小型車スイフトの中間に位置する排気量1000㏄クラスの世界戦略車を日本に“逆輸入”する計画も立てている。日本での販売価格は100万円を切る。2010年7月から日産自動車がタイで生産したマーチを日本で発売したのを皮切りに、今年8月末に三菱自動車がタイ製の小型車ミラージュを日本で発売する。スズキの逆輸入の小型車は、国内で3例目となるはずだ。
そんなスズキの命運が掛かっているインドで、ストライキが発生。スズキの経営への影響は大きかった。マルチ・スズキの業績はこれの直撃を受けた。インド国内での四輪車の販売台数は、11年3月期の113万台から12年同期は100万台と、前年同期比11.2%減と大幅に落ち込んだ。ストによる生産台数減は8万5000台に及ぶ。新興国市場での事業拡大を目指す日米欧の主要メーカーにシェアを奪われ、同期のシェアは38%と前年度比7ポイント減となった。
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