平井氏のその前年度の年収は、基本報酬が1億5300万円、ストックオプションは20万株で、前出の計算で3780万円。フリンジ・ベネフィット相当額及び所得税の一部補填等が1100万円で、合計2億180万円だった。
平井氏の報酬は前年度の約1.8倍、1億5700万円増の大幅なアップとなった。基本報酬はドル建てで13年3月期と同額の180万ドルだったが、円安が進んだことで円換算で3100万円増えた。ソニーで年収1億円を超えているのは、平井氏とソニー米国本社社長のニコール・セリグマン氏の2人のみである。
ソニーはテレビなどエレクトロニクス部門が不振で、14年3月期の連結決算の最終損益は1283億円の赤字。大手電機メーカーの中で唯一の赤字となり、ひとり負けの状態だ。このため、業績連動型報酬(賞与)は返上しているが、それでも平井氏の報酬は同業他社のトップと比べても突出して高額だ。
例えば、14年3月期に過去最高益を達成した日立製作所の中西宏明会長は、基本報酬1億2200万円と期末の業績連動型報酬の5100万円を合わせて1億7300万円。平井社長は、その倍の報酬を得ていることになる。
そのソニーは6月19日に株主総会を開いた。株主からは「平井社長では安心感を持てない」などの厳しい意見が出た。ソニーは1990年代後半以降、累積ですでに7万人以上の人員削減を行ってきたが、15年3月期末までにさらに追加で5000人の削減を行う計画を発表している。そうした社員が血を流す施策を進める一方で高額な報酬を手にする平井氏に対し、社内外からは批判の声が上がっている。
東京商工リサーチの調べによると、6月26日までに有価証券報告書を提出した3月期決算の上場企業1238社のうち、1億円以上の報酬を受け取った役員は97社で166人。このうち最終損益が赤字なのは、ソニーと半導体製造装置大手の東京エレクトロン、アドバンテストの3社だけだという。平井氏の高額報酬の異様さが見て取れる。
(文=編集部)