5月19日、イオンは、丸紅、マルエツ、カスミの4社による「首都圏におけるスーパーマーケット連合」(以下、首都圏連合)の創設を目指し、マルエツ、カスミ、イオン子会社のマックスバリュ関東の3社が持ち株会社を設立し、食品スーパー3社の経営を統合すると発表した。
また、イオンは丸紅と共同出資する特別目的会社を通じて3社の持ち株会社を子会社化し、規模のメリットを追求するという。経営統合により誕生する持ち株会社の売上高は3社単純合算で約5900億円(14年2月期)となり、食品スーパー最大手のライフコーポレーションの売上高約5300億円を抜き一躍、食品スーパー首位に浮上する。さらに持ち株会社は、20年をメドに売上高1兆円、1000店体制(14年2月期の3社計約450店)を目指すとしている。
首都圏連合は、果たして食品スーパー業界再編の起爆剤になるのだろうか。
食品スーパー業界の再編は、岡田元也イオン社長の悲願といわれている。19日の記者会見で岡田氏は「食品スーパーは全国に約1000社あるが、上位5社のシェアは27%にとどまっている。例えば英国では上位5社が76%を占めている。これと比べると、わが国では細分化された状態で同質化競争に明け暮れている。こんな状態で食品スーパーが今後も生き残るのは極めて難しい」と述べ、首都圏連合の創設で「新しい食品スーパーの時代をつくる」と強調した。
業界再編を目指す岡田氏の念頭にあるのは、流通市場における食品スーパーの著しい地位低下だ。過去10年間、食品スーパー業界の売り上げ規模が約20%縮小したのに対し、コンビニエンスストア業界のそれは約30%拡大している。加えて、近年は食品販売を拡大しているインターネット通販やドラッグストアなど異業種との競争も激化、食品スーパー市場は先細り傾向を強めている。
●イオンの危機感
さらに、首都圏連合創設の裏にはイオン自身の危機感もあるようだ。イオン傘下の食品スーパーは子会社と関連会社含め35社あるが、これまで商品の共通化など統一的な取り組みはあまり進んでいない。
例えば、イオンのPB(自主企画商品)「トップバリュ」は、14年2月期の通期売り上げ目標1兆円に対し7410億円と大幅な未達に終わっている。関連会社であるマルエツとカスミも以前からトップバリュを販売しているが、全体の売上高に占める比率はマルエツがわずか0.3%、カスミも3.6%にすぎず、マックスバリュの15%前後に比べると扱いが非常に小さい。