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話題の外部招聘経営者、なぜ不振企業の再建に有効?成功/失敗する“条件”とは?

文=中沢光昭/経営コンサルタント

 内部要因の課題はPDCAを粘り強く繰り返せさえいれば、どこかで本質的な問題が見えてきて道が開けてきます。過去のしがらみや慣習によって解決できなかった課題が見えてきたら、しめたものです。しがらみに引っ張られない外部経営者だからこそチャレンジできるため、そういう点で、内部要因の解決について外部招聘経営者による血の入れ替えというのは相性が良いでしょう。

 一方で大きな課題が外部要因、例えば市場全体の悪化や、風評被害やコンプライアンス違反による大口契約解除・取引先の離脱などにあると、外部招聘経営者による再建はかなり難しくなります。ある意味でばくちのような先の見えないことに挑戦していくので、業界に精通した人や何をしようとも社員が黙ってついてきてくれるような人、つまり必然的に内部で見つけやすい人のほうが経営者として適任でしょう。

●結果を出せる最低条件

 では、外部招聘経営者が失敗するケースとしては、どのようなものがあるでしょうか。

 それは、新しい経営者が最低条件を満たしていなかった場合か、新オーナーがあまり経営に関与しない場合です。最低条件とは、次のようなものです。

 ・相手が若手だろうとパートタイマーだろうと他人の話をきちんと聞き、適宜自分の判断を修正できること
 ・自分の判断について誰に対してもフェアに説明責任を果たそうという姿勢があること
 ・自分が経験していない領域であっても臆さずに、必要に応じて手を突っ込める姿勢があること
 ・恥をかくことを恐れない勇気

 端的にいえば、プライドが異常に高くて人の話を聞き入れないようなタイプでは失敗します。

 上記に加えるならば、時間感覚と金銭感覚がズレていると、より悪いでしょう。日単位で考えなければならない局面なのに四半期単位での感覚しか働かなかったり、100万単位で考えなければいけない企業規模で億単位でしか感覚が働かなかったりするようなことです。典型的な例では、色々な事業部や子会社を経験してきたとしても、人材的にも資金的にも市場ステージ的にも恵まれた大企業グループでの経験しかない人には、それらしいことは言えても経営者として機能できないケースがよく見受けられます。血が止まらないうちはどんな綺麗事も実現できる可能性は極めて低いのに、「成長を」「攻めの姿勢を」など言い続け、直接的に向き合わなければ問題を先送りするどころか、気付かないこともあります。

 もうひとつの最低条件は、新オーナーの関与についてです。再生状態に陥って多くの人が入れ替わる局面では、新オーナーや経営者や社員、その他取引先などさまざまな人が経営状態や方針を注目しがちになります。そして直接間接に何か言ってくることが、結果として「三人寄れば文殊の知恵」のような状態になります。細かく軌道が修正されたり、同じことに取り組むにしても深く検討できたりします。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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