通常、野球をスポンサードすることは費用対効果ではなかなか判断しにくく、だからこそ、地域の中で応援したいと思っていただけるかどうかが重要です。この3年間、地域の皆様にしっかり見ていただいたという雰囲気がありましたが、チームの成長と事業の取り組みが評価されるようになったのだと思います。
●行政とも連携
――スポーツ興行の枠を超えてコミュニティビジネスとして地歩を固めているように見受けられますが、行政との関わりはいかがですか?
池田 横浜スタジアムのある横浜公園は、ベイスターズの試合が行われない日には人が少なく、加えてみなとみらい地区への人口移転に伴い、関内地区の人口が減っています。野球の試合開催日に加えて普段から『横浜公園の魅力を向上させる』ための最初の取り組みとして、8~9月にかけて1カ月以上「ハマスタBAYビアガーデン」を主催し、今年も約6万人が来場しました。神奈川県のB級グルメ選手権も主催し、DeNAベイスターズ選手のイチ押しグルメなどの企画も実施しました。今後も関内地区の活性化のためにも、横浜公園の魅力度を向上させ、「プロ野球のある街、横浜」というブランドを関内地区から発信できるように、街づくりの視点でさまざまな活性化施策を考えていく必要があります。
――今年のシーズン前にさかのぼりますが、球団の全職員と全選手からアイデアを募って『次の野球』というアイデア集を出版されました。その成果はどのように表われましたか?
池田 新しいアイディアを至るところで実施しようという意識が、組織文化として根付きました。それがさまざまな指標で前年比を上回ったことにつながっているのだと思います。去年の10月、ペナントレースが終わった時期には、職員の多くはまだ昨シーズンに関する業務をこなしていました。しかし、今年の同じ時期はすでに来季の準備に入ることができています。イベントやグッズの企画、ホスピタリティを高める取り組みなど、年内に来季の企画段階の準備を終わらせて、来季はより横浜のプロ野球を楽しんでもらいたいと考えています。
――ありがとうございました。
(構成=編集部、協力=池田純/横浜DeNAベイスターズ代表取締役社長)
【編註1】アクティブサラリーマン層
30代を中心とした、20代後半〜40代の社交的な男性群を球団が命名したもの