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劣化する資生堂 シェア低下深刻化と海外事業の大誤算、得意の販売戦略通用せず

文=福井晋/フリーライター
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 このマーケティング力強化策として、10月1日から実施したのが「BM(ブランドマネージャー)制」導入と「CMO(Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者)」の新設。前者はブランド別に商品開発から販売までを一気通貫で管理、製品の損益をブランドごとに月次で把握する仕組み。売れ行きや販売ルートの特性に合わせ、きめ細かい販促を迅速に実施するのが目的だ。後者はブランド戦略自体を統括する役員。経営の軸を「技術・製品」から「顧客・市場」に転換するのが目的だ。「魚谷改革」の第1弾でもある。もっともBM制もCMOもコーセー、カネボウ化粧品などのライバルは約3年前から実施済みであり、業界内からは冷ややかな声も聞かれる。

 魚谷氏は10月31日の記者会見で「来期、再来期あたりで業績V字回復ができるとは思っていない。来期、再来期は腰折れのしないV字回復に向けて、切れ目のない改革を続けていく」と述べ、やがて下される厳しい評価への予防線を慎重に張っている。

「公家の資生堂」と揶揄されるひ弱な老舗企業を「野武士の資生堂」にどこまで鍛えていくことができるのか。プロ経営者・魚谷氏の手腕に注目が集まっている。
(文=福井晋/フリーライター)

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