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ゼンショー、食品スーパー・マルヤをTOB。狙いは何か?

「吉野家の最終赤字が約2億」各社減益で激安牛丼戦争が終結

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 09年末に、期間限定値下げを仕掛けてきたのは、すき家だった。それまで3社とも牛丼1杯、380円前後で横並びだった。すき家は一気に280円へと、大幅な値下げを敢行。松屋も追随するが、さすがに、ついていけず320円に値下げするかたちで対抗した。これに対して、吉野家は従来通りの380円の価格を貫く姿勢を見せた。

 牛丼戦争の緒戦で勝ったのは、価格を一気に下げたすき家。反対に敗れたのは、価格を据え置いた吉野家だった。電撃的な値下げ作戦が功を奏し、すき家は業界トップに躍り出た。

 期間限定の値下げを主導してきたすき家が、焼き丼では高価格に転じたのだ。これはどういうわけか。2年以上にわたり続いてきた、牛丼の低価格戦争は終わりを迎えたということにほかならない。

 低価格競争は、今年上半期で終焉したと言っていいだろう。食材価格の高騰による利幅の縮小が、価格の安さを競う消耗戦を自動的に終わらせた。2012年度の第1四半期決算をみれば、もはや、低価格戦争を続ける企業体力がないことが歴然としている。ゼンショーHD(4~6月期)の本業の儲けを示す営業利益は、前年同期比56.8%減の21億円、牛丼チェーンの既存店売り上げは同6.4%の減。快進撃を続けていた頃の勢いを完全に失っている。

 吉野家HD(3~5月期)、松屋フーズ(4~6月期)の営業利益も、それぞれ3億円、1.8億円とさんたんたる数字となった。吉野家は1億2600万円の最終赤字である。

 焼き牛丼旋風を巻き起こした東京チカラめしの三光マーケティングフーズも、12年6月期の通期決算は、営業利益が前期比27.4%減の17億円に沈んだ。当初「13年6月期は東京チカラめしを300店、出店する」としていた強気の計画を撤回して、急遽、FCを募集することになった。

 食材価格の高騰が低価格牛丼戦争の終結をもたらしたのである。終結ではなく休戦だという見方も確かにあるが、ともあれ、牛丼の値下げ合戦は打ち止めとなった。

 牛丼の値下げ作戦に見切りをつけたゼンショーは、食品スーパーの買収に向かった。ファミリーレストランのココスジャパンなど、他業態の外食に対してM&A(合併・買収)を積極的に展開してきたが、それでも牛丼の売り上げに依存する体質から抜け出せずにいる。

 マルヤ買収を皮切りに、小売業に本腰を入れて進出するのか。次の一手に注目が集まる。埼玉県を中心に群馬県南部にも展開する食品スーパー、ベルク(東証1部)の株価が堅調なのは連想ゲームなのかもしれない。なお、ベルクはイオンが筆頭株主で15%出資しているが、原島功社長の一族の会社で業績も好調だ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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