日本フランチャイズチェーン協会が昨年11月20日に発表した「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」によると、昨年10月度の前年同月比既存店売上高は7カ月連続のマイナス、来店客数は同8カ月連続のマイナスになるなど、コンビニ業界の厳しい状況をうかがわせている。ただし、平均客単価は2カ月ぶりに前年同月比プラスに転じ、明るい兆しも見せている。
そんな業界の3強の直近業績に目を転じると、1位のセブン-イレブン(以下、セブン)と2位のローソンは厳しい市場環境の中で営業利益増を達成したが、3位のファミリーマート(以下、ファミマ)は営業減益に陥った。
大手コンビニ各社が昨年10月に発表した14年度中間期連結決算(3-8月)を見てみると、セブンの売上高は前期比7.1%増の1兆3680億円、営業利益は同6.3%増の1369億円。ローソンの売上高は前期比2.5%減の2419億円、営業利益は同12.3%増の400億円。ファミマの売上高は前期比5.3%増の1843億円、営業利益は同15.8%減の214億円。各社が同期決算発表時に示した通期業績予想からも、ファミマの3位固定化がうかがえる。
そのファミマの中山勇社長は決算発表の席上、「業績は想定以上に厳しい結果だった」と危機感をあらわにした。積極出店の効果で売上高は前期比5.3%増になったものの、その出店コスト増が利益を押し下げ、営業利益は同15.8%減となり、期初計画の262億円を20%近くも下回った。これに伴い、通期予想も下方修正。売上高は前期比9.3%増の3779億円(期初予想3863億円)、営業利益は同7.6%減の400億円(同460億円)へ引き下げた。営業減益は10年2月期以来5期ぶりの見通しだ。
●背伸びした積極出店
コンビニ3強の中でファミマが独り負けした主因は、「背伸びした積極出店にある」(流通業界関係者)といわれている。
「競争が最終局面に入ってきた。これから大手同士の潰し合いが始まる。そこから生き残るためには、今期が『次の10年を決める勝負の年』だ」と、新社長に就任して3カ月足らずの中山氏が積極出店加速を宣言したのは、13年4月の同年2月期決算発表の席上だった。14年2月期中に前期新規出店数1.7倍増の1500店を出店する計画を明らかにし、「新規出店を加速できるよう店舗開発部署を独立させ、今期から開発本部に格上げした。人員も50人増強した」と語った。