●新店舗の売り上げ不振
それだけではない。流通業界関係者は「無理な出店が、新店舗の売り上げ不振を招いている」と指摘する。実際、ファミマが積極出店に転じた13年2月期の新店日販(新規開店から1年以内の店舗の、1日当たり平均売上高)は、前期の52.1万円から42.9万円へ9.2万円も急減。14年2月期は44.0万円、15年2月期上期は46.0万円と回復傾向が見られるものの、12年2月期の52.1万円まではほど遠い。
これについてはファミマも「12年度からの積極出店で新店が急増した結果、販促が追い付かず、これらの店舗の売り上げが計画より低いのは事実」と認め、「(積極出店のため)それまで当社とほとんど縁のなかった地方都市にも出店した。そうした店は他社よりも知名度が低いので、今までの経験則通りには売り上げが伸びず、採算分岐点に達するまで時間がかかっている」と、売り上げ不振の理由を釈明している。それにもかかわらず、「来期は既存店強化と新店立地のバランスを見ながら出店を行う」(同社)と、ペースを落としながらも積極出店の旗を降ろす気配はない。
ファミマ関係者は「コンビニは生活インフラの1つ。まだまだ成長し続ける。そんな中で、業界3位の店舗数ではインフラとしての価値がない」と語る。そこにはチェーン規模でセブンに追いつき追い越せの気概が感じられ、「3位固定化」など到底容認できるものではないとの危機感が感じられる。しかし、証券アナリストの一人は「ファミマの無理な出店が、将来の大量閉店や人員リストラを呼び寄せる要因につながる」と心配する。
「競争が最終局面に入ってきた。これから大手同士の潰し合いが始まる」と覚悟を示す中山社長。同社が「潰される側」にならないためにも、積極出店戦略の練り直しが必要な時期にきているのかもしれない。
(文=福井晋/フリーライター)